垢を出す銭湯 (神奈川〜千葉) |
2008年9月6日 |
目覚めの一発を体から絞り出しに公衆便所へ行ったが、朝が早いのでまだ開いてない。肛門は既に開きかけてるので待ってられない。便所の隣は植林してるエリアで、囲われている網が一部破れていた。
我慢出来なかったのでその中に入って用をしていると、ラジオ体操をしに集まっていた老人連中の3人が私の方へ近づいてきた。中に資材を置いている場所があったので、私を怪しんだのだろう。間一髪で用を済ませてズボンを穿けたので、尻を出している現場を目撃されることはなかった。
7時過ぎに出発し、江ノ島まで自転車道を走る。土曜日ともあって江ノ島は朝からサーファーだらけ。大して波もないのに、こんな所にこぞって集まるのもどうか。スポーツというよりも、ファッションでやってる連中も多くいるのだろう。
江ノ島から久里浜のフェリー乗り場までは、2時間程でいけると見込んでいたが、アップダウンが多い道と蒸し暑さに体力を奪われ、倍の4時間もかかった。
ここから房総半島の金谷まで30分。自転車を合わせての乗船料は1020円。この料金で30分味わえるクルーズは、安いものだと思う。
海上は船だらけ。横須賀には海軍があるためか、灰色の軍艦も数隻見た。すれ違いにカヤックで久里浜を目指してる人も見た。あの遊びもいつかしてみたいものだ。
昨日より荷物が3kg軽減しているのに、今だに重いペダルをこぎながら、金谷から館山へと国道127号線を南下。
午後から強くなった日差しに体力を奪われ、体もだるくなる。5km程走った所に道の駅きょなんがあったので、そこの駐車場の芝生で横になり1時間昼寝。
その後、汗だくになってはビールでエネルギー補給を繰り返し、17時に館山に到着した。とにかく汗を流したかったので、館山駅前の書店で兄さんから銭湯の情報を得た。
町に一つしかないというその銭湯は、創業明治29年と歴史があるもので、お湯を出すと配管についた水垢までもが出てくるという年季の入りようだった。
湯船も2,3人入れる大きさのもが2つだけで、蛇口がある洗い場も8人分くらいしかない。着替え場にはロッカーもなく、衣服を入れる籠があるのみ。時間が早いのか客も一人しかいなかった。
湯船を出て着替えていると、観光客らしきおやじが入ってきた。ロッカーがない事に気付いたおやじは番頭の婆さんに、貴重品は預かってくれるのかと心配そうに聞いていた。
それを聞いた婆さんは、そんなもんはないし、誰もとりゃしないよと簡単に即答。ここでは蛇口のみでなく婆さんからも垢が出ているらしく、軟弱になった都会人はそれを煎じて飲み、精神も洗い流させるようだ。
今夜の寝床は城山公園。目の前には丘の上には館山城がライトアップされ、なかなかのロケーション。公園の中にある屋根つきの休憩場では、日雇い労働者風のおっさんたちが親方がどうのと文句をいいながら、仲間たちと談笑して酒盛りをしていた。
早く仕事を見つけて落ち着かないと、私の行く末もああなる。今の状況は旅だからいいものの、普通に考えたら「リーチ、ホームレス」といったところだ。
さっき公衆便所で汗だくになった衣類を洗濯している時などは、まさにそれを強く感じた。でもあの人たちは世の中に不満などもあるだろうが、きっと自由に生きて楽しんでるのだろう。その点は私も共通している。
少し蚊が多いのが気になるが、公園は芝生なので直に寝転べて気持ちがいい。束の間の自由人として野性的な生活を楽しみながら、夜空に浮かぶ館山城を肴に、今夜も焼酎を飲んで明日の鋭気を養った。