バック・トゥ・ザ・ネイチャー (神奈川) |
2008年9月5日 |
仕事を辞めてもう随分経つ。再就職を目指して面接に奔走していたが、決まりかけた一社は、蓋を開けてみれば勤務地が違うという結果。本来なら通勤10分程の予定が、告げられた場所では1時間以上もかかるので、仕方なくこの話は断った。
広告の記載にも面接の時にもそんな話は聞いてなかっただけに、詐欺みたいな会社のやり方に腹が立ち、全てのやる気がなくなった。
こうなると選択肢は社会に戻るのではなく、バック・トゥ・ザ・ネイチャー。そこでまずは鋭気を養おうと、自転車で旅に出ることにした。
旅に出発する数日前に愛用のツーリング・マップル関東甲信越版を眺めていたところ、神奈川県横須賀市から千葉の房総半島へ繋がるフェリーがあることに気が付いた。
房総半島へは行った事がないし、そのフェリーに乗ってみたい。さらに半島を巡りながら海岸線を北上していけば、茨城県の霞ヶ浦の辺りに着く。確かその近くに世界一の大きさを誇る牛久大仏があったはず。この大仏も一度見てみたいと思っていた。
横須賀からフェリーに乗って千葉に渡り、房総半島を走りながら牛久大仏を目指す。そして大仏に「いい仕事が見つかるように」と願掛けをするとしよう。こうして旅の目的と大雑把なルートが決まった。
計画が決まれば行動あるのみ。すぐさま必要な食料や物資を100円ショップで買い集め、旅の準備に取り掛かった。出発は翌朝にしようと思っていたが、計画が決まったので直ぐにでも動きたくてしょうがない。
とても朝まで待ってられないので、夕方に家を飛び出した。今からなら2時間走れば茅ヶ崎に着く。初日のウォーミング・アップにも丁度いいだろう。
今夜の目的地は茅ヶ崎の柳島海岸。ここは江ノ島から8km続く自転車道の終点になる。その浜辺でキャンプすれば、朝一から自転車道で江ノ島へ行き、そのまま横須賀を目指せるので都合がいい。そうと決まれば後は走るのみ。
自転車はしょっちゅう乗っているが、荷物を載せて走るのは久しぶりで重い。荷物の重さの原因は米や水に食料だ。それも日々消費していけば2、3日後には軽くなるだろう。とにかく自転車を走らせ、すっかり陽も沈んで暗くなった頃に柳島に到着した。
海岸の自転車道は何度か利用したことがあるので、この柳島に公衆便所がある事を知っていた。それでこの場所を選んだのだが、夜に訪れたことはなく、周辺が真っ暗なことまでは予想出来なかった。
おまけに、便所は朝7時から夕方までしか使えず、水道も栓が止められていた。まあ必要なものはあるから困らないので、その浜辺にテントを張った。
柳島には無料のキャンプ場があるのだが、防風林の中というロケーションがあまり気に入らず、そこは利用しなかった。
浜辺では花火をしている者が何組かいるらしく、ワーワー騒いでいた。声から察するに何組かの親子のようだ。おそらく隣のキャンプ場に泊まっているのだろう。
団体は手に持つ花火だけでなく、ロケット花火も打ち上げていた。私も子供の頃はよくやったものだが、今となっちゃうるさいだけだ。あれは火花が散るのを楽しむのでなく、音を楽しんでるだけで、爆弾を投げているような気分になれるだけだ。
そんな夏の風物詩を聞きながらストーブで米を炊いて、レトルトカレーを乗せた毎度の旅飯を平らげた。
9時も回ると家族の団体もテントに戻ったらしく、周辺は本来の静けさに戻った。月明かりのみの浜辺には聞こえるのは波音のBGM。 それをつまみに飲む酒は一段と美味い。簡易の野外酒場は安上がりでもあり、贅沢なひと時も味わえる。