妖しげな雰囲気の夜市 (台北) 2007年4月10日〜13日


 台北にはあるいくつもの夜市の一つ、龍山寺近くにある華西街観光夜市へ出掛けた。この夜市は士林夜市よりも活気があり、周辺に風俗街があるためか、それっぽい女が客を求めてうろついている姿も見かけられる。

 蛇やスッポンを扱う料理店が数件あった。そこで精力をつけた後で、それを吐き出しに行くといった流れなのだろう。精力の食事以外にも、エロビデオやエロDVDを売る店、大人のおもちゃを扱う店などもあった。

 ずらりと並ぶ屋台では、地元客たちが酒を飲みながら飯を食い、大いに盛り上がっていた。そんな客たちに声を掛けている売春婦らしき女もいた。
 屋台の匂いに誘われ、夕飯に屋台でビーフンと茹でレタス、そして例の臭豆腐を食べた。どんな味なのか口にいれるまで緊張感があったが、いざ食べてみると味の濃い揚げ豆腐でビールに合いそうな一品。

 確かに臭いは強烈だが、慣れると病みつきになりそうだ。行きの飛行機で一緒だった兄ちゃんが、臭豆腐を食べると後で酷いことになると言っていたが、それはこの強烈な匂いが口の中や服に残るからなのだろう。

 屋台には衣類や日用品などを売る店も多くあり、中には100円ショップならぬ10元ショップなんて店もあった。
 面白かったのが包丁や歯ブラシ、掃除機、鍋などの実演販売。ヘッドフォンマイクを付けた販売員が巧みな話術を使い、行き交う人々の足を止めて引き寄せていた。

 中でも一番笑えたのが包丁の叩き売りだ。巧みな話術を使う男の説明と実演が終わると、恰幅のいい肝っ玉母ちゃんのようなおばちゃんが手に持っている50cmくらいの硬いチューブのような物で、机の上に置いてある叩き台をバンバン叩きながら「ほら買うのか、買わないのか(多分)」などと、見ている客に啖呵を切るのだ。

 その叩きかたが物凄く強烈で、叩いて威勢をつけるというよりは、ほとんど脅しているように思えた。明らかにサクラと思える数人の仕込み客が包丁を買い、それに釣られて買う客が数人いた。

 台北市内はビルが並び、日本でも目にするようなコンビニやファーストフード店が目に付くので、あまり異国情緒を感じることが出来なかったが、やはり市場に来るとその国の色がよく現れ、活気やエネルギーも肌で感じることができて楽しい。

 風俗街の通りを見てみたかったので、それらしきエリアへと足を運ぶと、50代くらいのおばちゃんが中国語で何やら説明を言いながら付きまとってきた。言葉はまったく分からないが「ハオ、ハオ」と何度も言ってるのだけ聞き取れた。

 おそらく女を買わないかと勧めていたのだろう。それがそのおばちゃん自身を売り込んでいたとなったら、とんでもない話だ。まあそれが100元くらいなら考えなくもなかったが。しつこく付きまとうのでそれ以上奥へ進むのが面倒になり、引き返すことにした。

 食欲や性欲が溢れている妖しげな雰囲気の華西街観光夜市。ここで青島ビールを飲みすぎ、かなり酔っ払って我を忘れていたら、ハオ、ハオ言っていたおばちゃんについて行き、気が付いたら食べられて「ハオチー」と言われていたかもしれない。 




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