シンボル巡り (台北) 2007年4月10日〜13日


 中正記念堂から地下鉄に乗り龍山寺に向かった。龍山寺は台北では最も歴史がある「万華」という地区にあり、寺の歴史も1738年創建という古いもの。何度も戦禍に見舞われて改修と再建を繰り返しながら、この地の信仰を一身に集めてきたという。

 寺では信者たちが熱心に祈りを捧げており、黒い衣装に身を包んだ者が多くいた。興味深かったのは、祈りをしてから行われる占いのようなもの。
 それは赤い三日月型した木の作り物を二つ持ち、それを地面に落として占う。おそらくその出た目の表裏などで運勢が分かるのだろう。

 一回きりではなく何度もやっていたので、願い事の度に行っていたのか、もしくは「今のは無し」なんて思いながら何度もやっていたのだろうか。とにかく年寄りから若い娘まで、こんなにも信仰に熱い人々がいたのは驚きだった。

 龍山寺から西門まで歩く途中、屋台で肉まんと韮まんを食べた。料金は一つ10元。大きさは小さめだが味が実にいい。この味を知ってしまうと、日本で売られている肉まんがまがい物のように思えてしまう。
 他にも多くの屋台があり、どの店からも食欲をそそるような匂いがする。その度に吸い寄せられ、何を作っているのか逐一確認していた。

 西門は日本でいうと東京の渋谷や原宿にあたる場所。そのため若者が多くいて、シャレた店などが並んでいた。
 このエリアを歩いていると、昨日から食べたかった台湾のポピュラー麺の「切仔麺」を見つけた。これはあっさりしてるが味のあるスープのラーメンといった感じだった。一緒に注文した猪豚の頭皮も美味かった。

 さらに歩いていると、これも台湾でポピュラーだという「阿宗麺線」の店があったので、ついつい食べてしまった。かつおとパクチーが効いたこってりスープに、細い麺がたっぷり入って40元。これは何度でも食べたくなる程の一品だった。

 台北駅前のビルの高さを越え、新たな台北のシンボルとなった台北101を見に行った。地上101階に地下5階からなる台北101の高さは509mで、現時点では世界一高い建築物だという。

 エレベーターも毎分1010m(時速60km)の速さで上昇するらしく、この速度はそれまで横浜ランドマークタワーのエレベータが持っていた記録を更新し、世界最速としてギネスブックに認定されたらしい。
 展望台のある89階まで上がることが出来たが、350元の入場料は持ち金が少なくて足りず、変わりにビールを買って近くの国父記念堂がある公園からその姿だけを眺めた。

 国父記念堂は中華民国の創始者である孫文を記念する建物。入口上部の高い位置には鳥が止まれるようなわずかなスペースがり、そこには針のような突起物が横一面に並んでいた。おそらく鳩などの糞害を防ぐためなのだろう。
 国の創始者の建物に糞をかけるなど許されざる行為であり、もしそんな鳥がいたら直ちに捕えられて人々の胃の中に消え、糞になって出されるに違いない。

 タバコが切れたので、公園の近くのセブンイレブンに買いに行った。マイルドセブンなどの日本製も多くあったが、ほとんど60元前後とやや高め。「WEST」というウクライナのタバコが35元と安かった。

 町を歩いていて気が付いたのだが、台北ではバイクに乗っている者は多いのだが、自転車をほとんど見かけない。中国というと自転車のイメージが強くあったが、台湾はどうやら違うらしい。

 中国本土へはまだ行ったことがないが、中国からの独立問題を抱える台湾は、何かと違うことも多くあるのだろう。現時点では世界一高い建築物の台北101。若者の町である渋谷のような西門には、その内109でも建つのだろうか。




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved