4日目 青森(前編) 2018年5月1日


 宿泊地にした青森県三沢市は、航空自衛隊の基地がある。太平洋沿いの国道338号線には、ミスビードル号記念広場があったので立ち寄ってみた。
 ここは1931年(昭和6)にミスビードル号がアメリカ西海岸を目指して飛び立ち、初の太平洋無着陸横断を成し遂げた地。そのビードル号の実物大か、広場には赤い飛行機と展望台があった。

 ちなみに、ライト兄弟が世界初の動力飛行を成功させたのが1903年(明治36)で、リンドバーグが単独でニューヨーク〜パリ間の大西洋無着陸横断をしたのが1927年(昭和2)になる。

 この辺りには小川原湖があり、仏沼というラムサール条約登録の湿地帯もあった。この手の場所でよく目にするこのラムサール。ラサール石井なら知ってるが、何の事やら分からないので調べてみた。
 要するに水鳥の繁殖や、動植物の食物連鎖を守るため、開発などしないで保護しましょうということ。

 国道338号線で六ケ所村の再燃処理施設を超えると、原野が多くなってきた。こういう風景を見ると、日本も広いしまだまだ土地があるのだなと思う。
 考えてみれば日本の国土の7割は森林。残る3割に人間が密集してるのだから、そりゃ窮屈に感じるわけだ。

 黙々と北上してむつ市に入り、下北半島に来た実感を得る。ここから県道4号線を進み、遂に恐山霊場に到着。
 死者の魂が集まる場所や、あの世への入口などのイメージがある恐山。湖畔にある恐山菩提寺は日本三大霊場のひとつで、昔から地蔵信仰を背景に死者を供養する場として知られている。

 もう一つ有名なのがイタコの口寄せだろう。死者の霊を降ろし、依頼者に必要なメッセージを自分の口から代弁するイタコ。
 私が子供の頃は、&ロ愛子などの心霊番組がテレビでよくやっていて、イタコの降霊シーンを何度か見た記憶がある。私はまったく信じてないが、人によっては高い金を払ってでもやるのだろう。

 霊場菩提寺に来てまず思ったのは硫黄臭いこと。どうやら恐山は活火山で、宇曽利湖も火山で出来たカルデラ湖のようだ。
 菩提寺境内は広く起伏のある白い岩場で、地面から煙も立ち込めていた。この景色を見ると、賽の河原や地獄といったイメージも沸く。

 所々に仏像や登山で見るケルン(積み石)があり、極楽浜という砂浜のビーチもあった。このネーミングは「地獄浜」の方がしっくりくる気がする。
 このような自然が作り出した景色と、本州最北にある山という立地が恐山を霊場にし、死者が集まる場所というイメージを生んだのかもしれない。

 地獄の恐山から娑婆の世界へ戻ろうと県道4号線を進み、奥薬研温泉のかっぱ湯へ向かう。ここは無料の露天風呂。混浴かと思っていたら男女の入浴時間が分けられていて、到着した時は男の時間が残り5分。

 誰もいないし来る気配もなかったので、少しくらい時間をオーバーしても大丈夫だろう。のんびり湯に浸かって極楽気分になろうとしたが、湯の温度が地獄のように熱く、結局5分も浸かっていられなかった。(後編へ続く)


[この日の写真]




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