3日目 岩手(後編) 2018年4月30日


 遠野から国道383号線の千人峠道路で山を下り釜石市へ向かう。釜石と聞いて思い浮かぶのは、社会人ラグビーの強豪チーム新日鉄釜石。駅には2019年ラグビーワールドカップの幟があったので、この地でも開催されるのだろう。

 駅には「鉄の町」と書かれ、向かいには新日鉄住金の工場があり、近くには鉱山もあった。昔から釜石は鉄の町として有名なようだが、私の目的は鉄ではなく、高さ48、5mの釜石大観音。

 そこへ上がっていくエレベーターの入口には、幸運を呼ぶ「奇跡の石」が置かれていた。これは釜石市両石地区に鎮座し、大津波に耐えた石だという。
 魚籃観音としては日本一の高さを誇るこの観音だが、前日に仙台大観音を見ていたので、そのスケールはイマイチだった。

 釜石から三陸道が無料供用中だったので、一気に宮古市まで上がり浄土ヶ浜を観光。鋭くとがった白い流紋岩が林立する、宮古の代表的な景勝地の浄土ヶ浜。
 レストハウス前では祭りが行われ、海鮮バーベキューをやっていた。祭りはGWの間続き、日によって歌謡ショーやシーカヤック体験も行われるようだ。

 国道45号線を北上する間、「過去の津波被害 ここから〜m」と記された看板を何度も見かけた。そのエリアでは更地になっていて、新築や建設中の家が点在。
 途中で通過した野田では巨大防波堤が建設されていた。その部分は海の景色も遮断され、塀の中にいるような異様な感じさえした。

 遠目で見たのではっきり分からないが、高さは10m位あった気がする。あんな物を作るくらいだから、過去の津波は相当なものだったのだろう。
 三陸はリアス式海岸としても有名。波の影響を受けやすく、それで作られた岩場も多い。これまでも幾度となく津波に襲われているようだ。

 ランチタイムが終わりかける13時前に久慈駅に到着。ここは数年前「じぇじぇじぇ」で流行ったNHKの朝ドラ「あまちゃん」の舞台になった町。
 三陸鉄道久慈駅には、1日20食限定のウニ弁当がある。これを食べたかったのだが、時間が少し遅かったのか売り切れ。

 目当ての弁当がゲット出来なかったので、他の店でウニを食べるのもなんだか癪。スーパーで安く売ってないかと行ってみると、瓶詰の生ウニ30gが1000円を発見。代わりにこれと米を買い、お手製のウニ丼で腹を満たした。

 久慈は琥珀の産地としても有名で博物館もあった。木の樹液が数千年かけて化石化する琥珀。様々な物が展示されていたが、やはり印象的なのは虫入りのもの。
 昔「ジェラシックパーク」という映画が流行ったが、あれは琥珀に閉じ込められた恐竜の血を吸った蚊の化石から、DNAを抽出して現代に蘇らせるという話だった。現代の化学なら、実際にそういう事は可能なのだろう。

 太平洋沿いの45号線をとにかく北上して青森県に入る、その先で県道1号線に逸れて種差海岸へ。ここは海の横に天然の芝生がある日本では珍しいところ。
 ビールを飲みながらこの芝生でくつろいだら、至福のひと時に違いない。だが今は飲酒運転になってしまうので、もう少し我慢して先に進む。

 さらに北上して八戸の蕪島へ。ここはウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている所。小さな島にある蕪島神社に近付いてみると、そこに集結しているウミネコの数が半端じゃなかった。

 近寄っても人慣れしてるのか全然逃げない。鳴き声はうるさいし足元は糞だらけで、気を付けなきゃ頭上から降ってくる状況。もしこいつらが突然襲ってきたら、それこそヒッチコックの「鳥」だ。

 八戸という看板を見て、とうとう青森まで来たという実感がした。しかし、目的地はまださらに北。
 今日はそろそろ走るのを止めたかったが、八戸周辺に道の駅がなかったので、もう少し足を延ばして道の駅三沢を宿にした。


[この日の写真]




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