1日目 福島 2018年4月28日


 住んでいる神川県から高速道路の圏央道に乗り、福島県の白河インターまでひたすら走る。そこから国道289号線で高原地帯をのどかに進んでいる時に、冬用の寝袋を持ってくるのを忘れた事に気が付いた。

 幸い夏用の寝袋が車に入れっぱなしだったのでこの問題はクリアしたが、もうひとつ重要な忘れ物に気が付いた。
 それは、痔も痛みを和らげる穴あきクッション。これは大問題だが、ここまで来てしまったらもう諦めるしかない。

 国道121号線へ進み、まずは旅のスタート地点になる塔のへつりに到着。大川ラインの景勝地である塔のへつりは、浸食と風化を繰り返して100万年の歳月をかけて作られた柱状の断崖。
 川沿い200mに大規模な奇岩がいくつもあるようだが、木が邪魔してか全体が見渡せず迫力はイマイチだった。

 30分程走って次に向かったのは、江戸時代の面影が残る大内宿。ここの名物はねぎを箸代わりにして食べる蕎麦。人気店の三澤屋で味わおうとしたが、昼時ともあって1時間待ちの行列。

 別の店で食べてみたが1本ねぎの箸は食べづらく、味も大したことはなかった。このねぎそばは三澤屋が30年前位に始めたメニューで、江戸時代から続いているものではないようだ。

 大内宿の次に立ち寄ったのは、猫が駅長を務める芦ノ牧温泉駅。元々は拾われた猫が駅を住処にし、駅に住む猫として人気があった延長で猫駅長が誕生。
 現在は3代目で仕事内容は列車の見送り、駅構内の巡回、待合室での癒し。私が訪れた時は駅室の籠の中で、猫らしく呑気に寝ていた。

 その後、白虎隊で有名な会津若松の鶴ヶ城を観光。城下では450年前に蒲生氏郷公が開いたという自由市が再現されていて、城よりも見応えがあった。
 隣接する鶴ヶ城会館で目に付いたのは2つの郷土玩具。張り子の「赤べこ」は除けや子育ての縁起物として贈られるもの。「起きあがり小法師」は毎年1月に行なわれる縁日で、家族の人数+1個を購入して1年間神棚などに飾る習わしがあるという。

 会津若松市内から1時間程移動し、日本で4番目に大きい猪苗代湖へ。湖の東にある松林の砂浜「天神浜」へ行ってみたが閑散とした雰囲気。
 湖畔は有料キャンプエリアだったので、夏などは賑わうのだろう。人はまばらだったが、この辺りからの磐梯山の眺めは抜群だった。

 猪苗代湖から国道115号線で北上し、「日本の道100選」の磐梯吾妻スカイラインに入る。吾妻連峰を縫うこの道は、渓谷、奇岩などのビューポイントが数多く点在しており、100選の一つなのが頷ける景色を堪能出来る。

 目的は道中にある吾妻小富士。ここは硫黄の匂いが漂う火星のような荒涼としたエリアで、火口の小富士山頂はお鉢巡りも可能。そこからのパノラマ景色も大自然で、ここまで来た甲斐を十二分に満足させるものだった。

 スカイラインで福島市内へと下る途中、開湯400年の歴史を持つ秘湯の高湯温泉に立ち寄る。その中でもリーズナブルな共同浴場の「あったか湯」で今日の疲れを癒す。
 日も暮れかけたので地図で今夜の宿を探し、1時間程走った先の「道の駅国見」を選ぶ。そこへ向かう途中、福島市内で国道13号線を走っていると、ショッピングモールのイオンがった。

 何だか見覚えがある景色だなと、記憶を辿って思い出した。ここは数年前にふくしま餃子を食べに来た店の近くだということを。その店は円盤餃子で有名な餃子の照井。こんな所まで餃子を食べに来ていた事をすっかり忘れていた。

 国道4号線を北上してスーパーで夕食を調達し、予定通りに道の駅国見で車中泊。隣にドラッグストアがあったので、痔の注入軟膏を買っといた。
 穴あきクッションは忘れてしまったが、薬があれば旅の間は尻の心配はなさそうだ。


[この日の写真]




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved