戦場に架ける橋 (カンチャナブリー) 2003年7月31日〜8月1日


 映画「戦場に架ける橋」の舞台で有名になった、クウェイ川鉄橋を見にこの町に来た。宿はクウェイ川沿いにある「シュガー・コーン」にチェック・イン。150バーツのシングルでコテージ・タイプ。スコータイで泊まった宿ほどではなかったが、ここもたなかなか居心地の良い宿だった。

 第二次世界大戦中、日本軍はビルマ・インド戦線への物資輸送の為に、「死の鉄道」とも呼ばれる泰緬鉄道を計画した。タイからビルマへ抜ける全長415kmの鉄道の中でも、このカンチャナブリーに架かるクウェイ川鉄橋は、日本軍の輸送網断絶を狙う連合軍による爆破の格好の標的となり、多くの犠牲者を出した。

 1943年の完成当時は木造だったが、連合軍による空襲で何度も爆破され、以後は鉄の橋となったという。映画「戦場に架ける橋」では、イギリス軍捕虜による木造の橋の建設と爆破までが描かれているようだ。

 鉄道は現在もタイ国営鉄道によって運行され、カンチャナブリーからナムトク間を走り、市民の足にもなっている。
 クウェイ橋の手前にはミュージアムがあり、当時使用されていたという日本軍の機関車も展示されていた。横にある土産物ではり、日本軍のヘルメットや刀、イギリス軍のヘルメット、ラッパ、飯盒などが売られていた。

 クウェイ川鉄橋の難工事には約3万人の連合軍捕虜兵士、10万人以上のアジア人強制労働者が投入されたという。その内の捕虜約1万6千人、そしてアジア人労働者10万人のほとんどのすべてが、熱帯のジャングルのさまざまな疫病にかかり、医療品の不足などで死亡したという。

 連合軍捕虜の死亡者は、戦後の生存者たちの手によって記録等が集められ、現在カンチャナブリー市内の7ケ所の共同墓地に埋葬されているが、名もなきアジア人労働者たちは今も密林の奥深くに眠ったままだという。

 カンチャナブリー郊外にはエラワン国立公園があり、タイで一番美しい滝と言われるエラワン滝がある。エラワン滝は全長1500mで大小様々な7段に分かれているのが特徴。
 滝の上までは約2kmのハイキングコースになっていて、蝶や鳥などと戯れながら自然も満喫できる。日帰りにちょうどいい行楽地なので、地元の人々や観光客で賑わっていた。

 一番上の滝まで上がると、岩場の山道を裸足で上り下りをする軍隊の一団がいた。おそらくトレーニングをしていたのだろう。なんだか気持ち良さそう、それに習って裸足で歩くことにした。
 7つの滝のうち6番から7番にかけては、岩場の上を少量の水が流れる滝だったので、そこを上っていけたのが面白かった。

 滝つぼの水はエメラルド色で輝き、水遊びをして楽しむ者も多くいた。泳げるとは知らなかったので海パンは持参してなかったが、見ているうちに泳ぎたくなり、上半身だけ裸になって半ズボンのまま泳いで楽しんだ。

 映画「戦場に架ける橋」でも描かれ、事実、第二次大戦中に様々な悲劇を生んだ歴史的背景を持つこのカンチャナブリー。
 私たちに出来ることは、同じ過ちを繰り返さぬよう過去の事実を知ること。そして、エラワン滝のエメラルド色した水のように、世界のどこにおいても輝かしい未来が来ることを祈るだけである。




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