首長族を見に北部の村へ (チェンマイ) 2003年7月24日〜29日


 チェンマイ市内で申し込んだツアーで、首長族を見に北部の村へと行った。ツアー客はイギリス人のカップル、アイリッシュのカップル、フランス人親子と私の7人。ツアーガイドは太鼓腹のようなおやじと、日本語を2年勉強しているという若い女だった。

 まず一行が向かったのがオーキッド・ファーム。多種類の蘭が咲き乱れるファームにはバタフライ・ファームも併設し、たくさんの蝶がいた。早朝の出発で何も口にしていない私の鼻や腸には、花や蝶よりもコーヒーとタバコが必要だった。

 次に訪れたのはタイ最大級のチェンダオ洞窟。中は鍾乳洞で仏像が置かれ、入口にはでかいナマズがいる池があり、餌を与える観光客がいた。私にも早く餌が必要だった。
 その後2時間程景色のいい田舎道を走り、丘の上にあるタートン寺に到着。ここではブッダシーカーオという大きな白い仏座像が印象的だった。

 ようやくランチタイムになり胃が落ち着いた。ツアーの定番コースになっているだろうと思える観光客が集まるこの場所でも、アカ族の女たちが土産売りに精を出していた。昼飯を済ませた後、ここから15分程車で走り、ようやく首長族がいる村に到着。

 この村にはアカ族とヤオ族、そして首長族と呼ばれるカレン族が暮らしている。両端に土産屋がある通りを奥へと歩きながら、それぞれ順番に見れるようになっていた。
 アカ族は既に色々な場所で見ていたが、ヤオ族を見るのは初めて。特徴的だったのは女たちは耳にあけた穴に、直径3センチほどの鉄の筒のようなものをしていること。

 それと、アカ族もそうだったがヤオ俗の女たちも細長いパイプ口にくわえ、タバコを吸う者が多かった。首長族のカレン族が暮らす村は、通りの一番奥にあった。
 重さ4kmもあるという真鍮でできたコイル状の輪を、首にはめている若い女の子たちが、それぞれの土産屋にいた。

 写真やテレビなどで見たことがあった首長族だが、実際会ってみればどの子もあどけない顔をした普通の女の子。見られる事にも慣れているのか、カメラを向けても嫌な顔ひとつせず、むしろ笑顔を見せるくらいだった。

 この村に到着する前に、イギリス人カップルの男から首長族の女たちが首を長くする理由を聞いていた。彼の話によると、ドラゴンを神聖なものとして崇めているので、その姿に似せるか近づくために、ああやって首を長くしたのだという。

 誰もがその変わった容姿を見にここを訪れる。私もその一人なので偉そうな事は何も言えないが、カメラを片手にやって来る観光客の群れは、まるで珍しいものを見に来てるかのようだった。

 ミャンマーから逃れてきた政治難民であるカレン族。彼らの収入は土産販売と男たちの出稼ぎ代だけらしい。村には500バーツの入場料あるが、税金代わりにその金は政府に全部いくという。

 髪型、服装などの容姿は民族によってバラエティがあり固有のものだ。日本にもちょんまげなど変わったものもあった。現在一般的とされている服装や髪型だって、それが絶対的であるなんてのは勝手な解釈なだけ。

 私たちが首長族を見て珍しく思うのと同様に、彼女たちから見れば、私たちもまた珍しい存在なのだろう。とにかく、土産を売って生計を立てる彼女たちは、観光客が来るのを首を長くして待っていたようにも感じた。




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved