郊外へツーリング (チェンマイ) 2003年7月24日〜29日


 チェンマイにはバイクをレンタルする店が多くある。他のアジア諸国などでもそうだが、ここも国際免許がなくても安易にレンタルすることが可能だった。
 仮に無免許で現地の警察に捕まったとしても、責任は貸した店ではなく、借りた当事者にあるのだろう。レンタル屋の兄ちゃんは、ヘルメットを被ってないとたまに捕まるから気を付けなと言っていた。

 チェンマイ郊外にあるワット・プラ・タート・ドイ・ステープへ、そのレンタルバイクで向かった。ここはチェンマイ市街から約16km西にある寺院で、仏陀の遺骨が納められている寺としてタイの北部で最も神聖な場所。
 峠道のツーリングは気持ち良かったが、寺院はチェンマイ市内を一望できる標高1760mのステープ山の山頂近くに位置しているので、気温が低く少し肌寒かった。

 門から山頂までは、2匹のナーガ(竜王)が彫られた348段の石段がある。石段を上がった本堂は、大理石が敷き詰められた床で土足厳禁。
 中央には金色に輝く22mの仏舎利があり、その周囲を囲むようにいくつもの仏像が配置されていた。チェンマイのシンボルに神聖な寺院ということもあり、礼拝をしているタイ人も多く見かけた。

 ここからさらに山奥に10km程走った所に、タイ北部の山岳民族であるメオ族が暮らすメオ・トライバル・ビレッジがあった。民族固有の暮らしぶりが見れるのかと思っていたが駐車場脇には土産屋が並び、いかにも観光客向けというような村。

 実際にメオ族の人々が暮らしているのだが、民族衣装に身を包んでいるのは、土産を売っている者たちだけ。土産屋の路地裏に広がる集落を散策したが、そこはアジアのどの国でも共通する普通の暮らしぶりだった。

 チェンマイに戻る途中でなんとかビレッジと書かれた看板を見かけたので、その標識を頼りに向かった。しばらく走ると舗装されていた道路が未舗装になり、山奥に入るにつれ、やがてはダート道になってきた。
 そんなダート道の奥まで行ったが、そこには民家が数件建っていただけ。ほとんど人も見かけず、そこの暮らしぶりも普通のようだった。

 バイクの返却は午前10時までだったので、それまでフル活用しようと、翌日はメーサー滝を見に行った。時速100kmのスピードで空いている道路を飛ばしたため標識を見過ごし、大分迷ったがどうにか到着。

 メーサー滝は入場料200バーツ。レンタルバイク屋で貰ったフリーマガジンの中に、滝壷まで高さのある見事な滝の写真が掲載されいた。これがメーサー滝だろうと探したが見当たらない。マガジンをよく読んでみれば、それは別の場所だった。それでもメーサー滝の周りは森林が広がり、気持ちいい散歩ができた。

 チェンマイに戻ると旧市街のお堀の辺りで、警察が何かの取締りをやっていた。今更引き返せないし、ヘルメットも被っている。おまけに長旅で肌も色黒になってるので、地元人らしく何気ない顔で通り過ぎると、引き止められる事はなかった。

 もし捕まったら少々の金を賄賂として渡し、見逃してもらおうと考えていた。バイクの返却も1時間半遅れたが、エクストラマネーを取られることもなかった。タイ人の大らかとできとうさが幸いした日だった。




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