ラオスの沈没地 (バンビエン) 2009年7月23日〜25日


 ビエンチャンからローカルバスでバンビエンへと向かった。町から田園風景を抜けて山の中に入ると、車窓には中国の桂林のような岩山が見えた。「こんな所に泊まるのもいいな」と考えていると、なんとそこがバンビエンだった。

 緑豊かな山に囲まれのんびりとした雰囲気がある町は、まさにヒッピーの沈没地といったところ。町にはソン川が流れ、そこでは名物の遊びが出来る。そのため水着姿で町を歩く旅行者の姿が目立った。もっと田舎を想像していただけに、これには少々醒めた。

 名物の遊びというのはチューブを使う川下り。川の上流から浮き輪でただ流されるというものだが、その景色が素晴らしい。
 前半にはターザンジャンプが出来る飛び込み台があり楽しめるが、流され続けるだけの後半は正直飽きてくる。

 川ではカヤックも出来るようで、浮き輪で流される横を何艘ものカヤックが通り過ぎていった。周辺の山ではトレッキングも出来るようだ。

 沈没地に付きもののマリファナなどのドラッグ関係も出回ってるようだ。宿の隣部屋に泊まっていたインド人も昼間からプカプカとマリファナを吸い、トランス系の音楽をでかい音量で流していた。吸うのはどうでもいいが「音を下げろ」と文句を言いそうになった。

 泊まっていた宿のオーナーはイギリス人。過去に世界を旅して回り、バンビエンに流れ着いたようだ。昔はロンリー・プラネットもインター・ネットもなかったので、旅は大変だったと言っていたが、それは不便だという意味でなく、昔の方が楽しかったというニュアンスで聞こえた。

 私もこれには同感である。最近の旅行者には携帯やノートパソコンも必須の旅道具であるようだが、外国に来てまでそんな物持っていても邪魔なだけだ。

 バンビエンには寝転がってくつろげるレストランが多くあり、どこのレストランでもテレビで「フレンズ」のようなアメリカン・コメディドラマが流されていた。こんなところにまで来て見るものじゃないだろう。日本人がここで月9のドラマを見てるようなもんだ。

 私はそんな空間ではくつろぎたくなかったので、川を渡った向こうの竹やぶの中のロッジで、ハンモックに揺られながら本を読んでくつろいだ。

 ラオスでは靴を脱いで上がる店やゲストハウスなども多くある。町もゴミが散らかってないので、ラオス人は綺麗好きなのだろう。片言の英語を話すおやじから「ラオスと日本は似てる、仲間だ」というような事をよく言われた。

 地元向けの店では店員は英語を話せず、料金を聞くと恥ずかしがりながら英語で告げてくることもあった。そのシャイな様子を見ていて、すごく純朴さを感じた。
 こういう面も古き日本と似ているのかもしれない。そんな温和な人々がいるからこそ、バンビエンは一部の旅行者には沈没地となるのだろう。




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