同胞に出会う (安波〜平良) 2010年3月12日


 鳥のさえずりと川のせせらぎでのんびりは出来たが、キャンプ地が日陰だった為に朝露が酷く、テントがびしょ濡れになり寒くて何度も起きた。
 昨日は疲れていて気が付かなかったが、よく見ればテントの目の前には巨大なシダが。そりゃ陽が当たらないはずだ。

 シダの葉は過去に何度も見た事があるが、こんなにでかいのは初めて。大きく育つと中心から蝶の触覚のようなものが出来るとは知らなかった。
 数日前の雨の時は、路上でカタツムリを頻繁に見掛けた。どちらも何億年前からいる生物。渦を巻く容姿の一部は、その時代の流行の名残だろうか。

 今日は昨日に勝る快晴で、これぞ沖縄という天気。安波から坂を上がった周辺には、さとうきびやパインの畑が広がっていた。ちょうどこれから仕事を始めようとしていたオヤジがいたので会話。

 オヤジは建築関係の仕事を定年した後に農業を開始。定年前から農業をすることを計画していたようで、その頃にミカンの木なども植えて準備を整えていたという。広い面積のある畑では、さとうきび、パイン、ミカン、ポンカン、タンカンを奥さんと二人で育てていた。

 野生の猪が出て作物を荒らされるらしく、畑の周りには柵が張られていた。しかし、僅かな隙間から子供の猪が入り込み、畑の中で成長して子供まで作ってしまうらしい。その対策用に、猪を捕まえる為の犬が3匹飼われていた。

 アップダウンを繰り返す道を進んでいると、正面から台車に荷物を載せて歩く旅人がやって来た。やはりいるのだ。こういうことをやる奴が。
 旅人は若者で北海道出身。那覇空港からスタートして私とは反対周りのルートを歩き、今日で8日目だった。

 歩き旅は私と同様に初めてだが、過去に自転車で北海道から佐賀までの日本縦断をした事があると話していた。
 私の一周旅のリミットはあと6日。若者の一日の移動ペースは私ほどではなかったので、何とかその範囲で一周は達成出来そうだ。

 昼に休憩した「山の駅 高江」でバイカーと出会った。彼は歩き旅の私を珍しがり、ブログに載せてもいいかと写メを撮ってきた。自己満足だけの旅も、こういう事があると少しは報われる。
 その後に休憩した魚泊共同店には、100円で利用出来るシャワー室があった。ここで6日振りのシャワー。臭くなってた靴や服もついでに洗い、リフレッシュして再出発。

 魚泊からは道中に民家もチラホラ姿を現し、自動販売機なども出現。東村では久々に信号機も出てきた。ここで県道70号線は終わり国道331号線に変わった。
 ここらで今日の移動ノルマは達成。東村のビーチにはピンと来るキャンプ地がなかったので、隣の平良ビーチにテントを張った。

 朝露でテントが濡れたままだったので、乾かしながら泡盛を飲んで休んでいると、ニッカポッカを穿いた土方姿のオヤジがビーチに現れた。
 浜に落ちているゴミ拾いってるので容姿に似合わずエコロジストだなと感心していると、なんとそのゴミは海に投げてるだけ。おまけに瓶を拾えば石で割ったりと、意味不明な行動をしている。

 よく見れば腰に30センチ程の鉈をぶら下げていた。絡まれそうな予感がしたが、それはなかった。もしそうなったら泡盛を飲まして、一緒に盛り上がるつもりだったのだが。私も乞食まがいの旅をしている同胞なのだから。

 長時間歩く事には随分慣れ、辞めたくなったり嫌になったりする事は無くなったが、毎日この時間になるとふくらはぎや腰が痛み、疲れがピークに達する。相棒のカート・二バーンの片輪もかなり八の字になってきたので、いつ壊れるかが心配だ。

 天気が良いと日中は半袖、半ズボンでいいが、朝晩は冷えるので、長袖、長ズボンが必要になる。それよりも今の私に一番必要なのは、10時間くらいの睡眠だった。

[この日の写真]




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