良薬旅にありし (マンダレー) 2003年7月9日〜16日


 5日間も寝込んでしまったので、観光に当てられるのは今日1日だけ。病み上がりの体でマンダレーの観光へと出掛けた。
 まず目指したのは、近郊の町アマラプラにあるウーベイン橋。町からピックアップに乗って30分。降りた場所からウーベイン橋までは歩いて20分程だった。橋に行くまでには、真っ白い寺院なども見かけた。

 ウーベイン橋はタウン−タマン湖に架かる全長1、3kmの木造の橋。橋の先は小さな島になっている。今は雨季で大きな湖となっていたが、乾季には島まで陸続きになるという。
 橋には自転車で通る人も多くいて、湖に飛び込んで遊ぶ子供たちや、釣りをする男たちもいた。いくつかあった屋根付きの休憩場では、食物や絵などが売られていた。

 島には小さな寺院があり、その庭には達磨のような顔をした石像があった。ヤンゴンのスーレーパゴダでも見たが、これはピッタ・イン・ダウンというもの。
 縁起物として建物の前や神様の前などに供えられており、起き上がり小法師のようなおもちゃとしても売られている。

 旧王宮の北東にあるマンダレー・ヒルは、丘全体が寺院となったマンダレー最大の聖地。標高236mの丘の頂上は、仏塔を中心として360度眺望できるテラスになっている。夕日のスポットとしても有名だったので、その時間に合わせて訪れた。

 両側を2頭の大きな白ライオンが守る入口から参道へ。土産などの露店やお堂がいくつもあり、様々な仏像も置かれていた。中でも目を引いたのが「予言を与える仏陀」と言われる、8mもある全身金箔で覆われた仏像。

 頂上にある寺院の壁は鏡の破片で覆われており、太陽の光を浴びた寺院はきらきらと輝いていた。テラスからは眼下に広がる旧王宮をはじめ、マンダレー市街やエーヤワディー川などが一望出来きる景色。もちろん、夕日が美しかったのは言うまでも無い。

 病み上がりの体なので帰りはピックアップを利用するつもりだったが、日も沈んで時間が遅くなったせいか、麓にはピックアップが見当たらなかった。
 数人いたサイカーに町まで戻る料金を聞くと、700チャットなどと言う。バカらしくなり、ムキになって宿まで歩いて帰った。

 マンダレーの町は碁盤の目のように分かり易い地形。また、華僑が多く住んでいるのか、中心部では中国系の顔をした人間も多く見かけ、漢字の看板も多く目にした。そんなこともあり、マンダレーでは中国にいる気分になることもしばしばあった。

 最大のマーケットであるゼージョー・マーケット付近は、ミャンマーらしいローカルさが漂っていた。道路のかなりの部分が露店に占拠されており、その隙間に人や荷車、サイカー、トラックなどが行き交う混雑ぶり。そんな中を散策するのは面白かった。

 インドで味わった下痢地獄に続き、ミャンマー第二の都市マンダレーで、私は第二の瀕死を味わった。昨日まで病んでいた体だったが、ウーベイン橋、ゼージョー・マーケット、マンダレー・ヒルなどの観光が良い薬になり、心身共に回復へ向かった。




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