本格的な村山古道へ 2012年7月5日

所要:9時間 距離:14,5km

 5:45 村山口
 6:20 分岐
 6:50 しの字の分岐
 7:05 印の十字路
 7:25 大ケヤキ
 8:15 ザとホの印
 8:20 天照教奥之院参道
 9:00 緑陰広場


10:00 30の標識
10:40 中宮八幡堂
11:15 スカイライン1
13:00 スカイライン2
13:50 案内板
14:15 高鉢駐車場
14:45 空き地




 夜に雨が降ったが朝には止んだ。天気も曇りなので、歩くのには丁度いい。たっぷり寝たので体の疲れも回復した。
 朝飯を食っていると、昨日現れた白い野良犬が登場。「何かくれ」と言わんばかりの目でこちらを見ている。多少、食料は多めに持ってきていたので、いくから荷物を軽くしようと、食パンに羊羹、ちくわなどを与えたが、さすがにキムチは食わなかった。

 水の補給は村山浅間神社の向かいにある、山本商店ですることにしたいた。持参しているのは2リットルのペットボトル2本と500mlの水筒。計4,5リットルの水があれば、今までしたトレーニングの経験から1日半は大丈夫。

 昨日は山の中を歩いてたわけじゃないので、水の確保は安易だったが、初日から重荷になれようとスタートから満タンにして歩いてきた。
 昨日消費した2,5リットル分を山本商店の自動販売機で確保。これが当たり付きの自動販売機で、なんと1本当たった。どうやらツイてる。この先も事が上手く運びそうだ。

 今日のキャンプ予定地は、六合目の下にある旧三合目石室跡。写真で見る限り、そこにはテントが張れそうな平地があった。富士山は五合目より上でのキャンプは禁止なので、そこなら問題もないだろう。

 村山浅間神社から六合目までは水の確保が出来ないので、この間の水が一番の問題。荷物が重くなろうが、どうしても満タンにして上がらなければならない。
 もし足りなくなっても、キャンプ予定地から30分上がれば六合目に出れるので、補給しに行く事も可能だった。

 私の場合はテント泊の自炊に拘っているので、水や寝床の問題があるが、そうでなければ軽装でもこのルートで登ることは出来る。初日は村山浅間神社の屋根の下で野宿し、早めに到着すれば山本商店で食料も買えるだろう。

 2日目も無理して六合目まで上がれば、山小屋に泊まれるので問題はない。その後も頂上まで上がり、いずれかのルートで五合目まで下れば、同様の問題は解消する。実際、そのように登った人のHPなどもあった。
 とくかく、ここからが本格的な村山古道の始まり。石畳の登山口は神社のすぐ脇にあったので、そこから進んで2日目をスタートした。

 昨日は曇りで富士山はどこからも見えなかったが、今朝は正面にそびえ立つ姿がくっきり見えた。標高の低い位置から見上げるとやはりデカイ。頂上まではまだまだ遠い。
 登山口からしばらくアスファルトの上を進むが、最後の民家を過ぎた先の案内板から右斜めに進んで山へと入っていく。

 事前に調べた情報では、この先には案内板や印などもあるので、それを辿っていけば進んでいけるが、途中には作業路などが複雑に交差してる場所もあるので、迷って引き返す人も多いらしい。
 曲がる箇所や通過していくポイントは、出来るだけ事前に調べていた。もし迷った場合でもコンパスを持っているので、いざとなれば方角だけを頼りに進むことも可能だ。

 しばらく歩いてアスファルトの林道を越えると、「し」の字型の木の分岐が。ここを右に進んだ先には木のトンネルがあったので、その中はリボンを辿る。
 その先には情報にはなかった十字路があった。右の木にはスプレーで「印」と書かれており、正面と左の道には通行を塞ぐように、折れた木でバツ印がされている。
 この先はずっと北東に進んでいくはずだが、右に進むと南東に戻るようになる。だがどう考えても右に曲がれとの合図なので、その通りに進んでいく。

 再びアスファルトの林道を越えると大ケヤキに到着。やはり間違ってなかった。だがその先で今度はT字路。方角的には左なので左に進んで、その次の分岐を右に進む。
 今度は未舗装の林道に出た。調べてなかったポイントがたくさん出てくる。ここは右への道が2本あったので、折り返す方じゃない右へ進む。

 その先で腰をかけれる丸太がある未舗装の林道に出た。直進するとまた十字路になったので直進。所々にリボンの印はあるのだが、本当に正しいの道なのだろうか。
 しばらく進むと今度は黄色のペンキで木に「ザ」と「ホ」の印が。文字の意味がなんだか分からないが、とにかくその木と木の間を進んでいくとアスファルトの林道に出た。

 右に進むとすぐ左側に天照教奥之院参道の入口があり、そこに村山道と書かれた案内板があった。持っている地図では参堂の入口ではなく、天照教の入口を通るはずだったが、道はあってるようなので問題ない。
 参堂ではなく右の道を進んでいくと未舗装の林道に。右に曲がってすぐ左に進むと、通過ポイントだった吊り橋が現れた。くぐって進んだ先で、ようやく緑陰広場に到着。

 広場の横には大きな建物があり、車が何台も駐車していた。ここは多分キャンプ場だろう。確認してないが、おそらくどこかに水道があるに違いない。ここで水の確保が可能かもしれないが、無料で分けてくれるかは知らない。

 広場からそのまま進みオリエンテーリング路を越える。リボンを頼りに歩いていくが、途中で右に進むと東の方向へ進むようになった。これは違うはずだと戻ると、どこで間違えたのかオリエンテーリング路に出て緑陰広場に戻ってしまった。

 再び広場から同じように進んでいき、今度は右に進まず「30」と書かれた標識の場所を直進。その先に何だか分からないが石碑があったので、道は正しそうだ。
 さらに進んで砂利の林道を越えると、正面から小学生の団体が歩いてきた。この先のポイントは中宮八幡堂なので、先頭で引率していた年配のおじさんにを聞いてみると、すぐ先にあるとの返答。

 少し立ち話になったので、田子の浦から歩いてきた事を話すと、おじさんから名刺を貰った。名前を見ると、何とこの人は村山古道の本を書いた畠堀操八さんだった。
 この人や地元の人たちがこの登山道を復活させたからこそ、こうして歩くことが出来ている。偶然の出会いに少し嬉しくなり、写真を撮らせて貰い、握手もしてもらった。

 中宮八幡堂から進むとスカイラインに出た。ここから道を見失って完全に迷う。踏み跡らしき道を進んでいくが、リボンの印がまったくない。左側には深い溝のような道が平行していた。
 この先は標高1600mで再びスカイラインに出る。戻るのも面倒だったので、コンパスだけを頼りにひたすら北に向かって進むことにした。

 1ヶ月前に富士山の麓にある青木が原樹海を縦断した。その時もコンパスだけを頼りに歩いたが、その経験がここで役立つとは思わなかった。進んでいる踏み跡はどうやら獣道のようで、鹿の糞が落ちており、その鹿も目撃した。

 持っている携帯電話で標高が分かるので、調べてみるとまだ1400m。かなり勾配もキツくなってきたが、ひたすらに直進していくと前方から車の音が。そして標高1600m地点でスカイラインに出ることが出来た。

 左側にあった深い溝もここまで繋がっていたので、もしかすると、そこを歩いても来れたかもしれない。ただ溝はかなり深かったので、その道がどうなっているかは不明だ。
 スカイラインには出れたが、この先の入口が分からない。地図には入口に「1600」という標識があると書かれてるが、近くにあったそれと似た標識は、路肩にある「10、6km」というもの。これは多分スカイラインの距離を示すものだろう。

 とにかく少し下ってみると「10.8km」の標識の横にリボンを発見。どう考えても入口はここに間違いないので、そこから再び山に入る。
 この日は曇りだが蒸し暑かったので3,5リットルも水を飲んでしまい、残りが1リットルになっていた。キャンプ予定地の旧三合目石室跡までは、多分まだ3時間はかかる。歩き始めてから既に7時間が経ち、疲れも出始めていた。

 このまま進んだら水を飲み干してしまい、キャンプ予定地からさらに30分上がって、六合目まで確保しに行く必要が生まれる。疲れてるので考えただけでもそれは嫌だ。
 そこまで登らずにこの辺りでキャンプして、夕食に水を使わなければ、明日早くに到着出来る六合目までは、残り1リットルで足りるかもしれない。

 どうしようか考えながら進んでいくと、案内板がある歩道に出た。見ると左に進めば120分で表富士グリーンキャンプ場、20分で高鉢駐車場と書かれている。
 キャンプ場に行けば水は確保出来るだろうが、2時間歩くのは遠いのでそれなら登った方がマシ。仕方ないので諦めて少し進むと、テントが張れる平地を発見。そこである事に気が付いた。

 もしかすると、高鉢駐車場に自動販売機があるかもしれない。20分の距離なら確かめに行ってみる価値がある。そこで荷物を平地に残し、ペットボトルだけ持って行ってみた。
 残念ながら駐車場に自動販売機はなかったが、トイレがあったので中で水を汲む事が出来た。しかし、洗面台が浅いのでペットボトルが入らない。何て事だ。これなら水筒を持ってくるべきだった。

 水筒を取りに戻るのは面倒なので、何か方法がないかと頭を捻らせて思いついた。トイレットペーパーの芯を使えばいいのだ。
 頼むからあってくれと便器がある扉を開けると、いくつものトイレットペーパーがあり、芯だけも1つあった。これを細くしてじょうご代わりにし、ペットボトル2本を満タンに。

 水は雨水だが煮沸すれば飲める。その作業もあるし平地も見つけたので、もう先に進むのは止めて、今夜はそこでキャンプする事にした。
 駐車場から戻る時に「熊出没注意」という看板があったが、今はそんな事よりも体の方が気になる。右の腰が痛み、何度かプチギックリ腰になりかけていたので、とにかく早く休みたかった。

 今日は何度か道にも迷ったが、どうにかここまで歩いてこれた。おまけに途中で畠堀操八さんにも会い、タイミングいい時に平地を見つけ、水の確保までも出来た。
 そういえば、今朝に山本商店でジュースを買った時には当たりが出た。どうやら今日は朝から運がある1日だったようだ。

 重荷を背負いながら海抜0mからの登山という、ある意味で行者のような身の私に、これは富士山の神が与えてくれた恩恵かもしれない。




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