田子の浦から出発 2012年7月4日

所要:8時間 距離:21,6km

10:10 田子の浦海岸
10:45 鈴川の富士塚
11:15 左富士
11:35 平家越え
11:50 吉原宿入口
12:00 西木戸跡
12:35 富知六所浅間神社
13:45 広見公園


15:35 ローソン
15:50 道しるべ3
16:00 道しるべ4
16:20 道しるべ5
16:25 自動販売機
17:40 道しるべ7
18:00 村山浅間神社




 4日分の食料とキャンプ道具一式を詰め込んだバッグパックは、これまで1ヶ月間でトレーニングした時より遥かに重く、自宅を出発する早々からその重さがずしりと腰にきた。こんな重荷を背負って富士山の頂上まで上がれるのかと、正直不安な気持ちになった。

 初日の予定は海抜0mの田子の浦から、標高530mの村山浅間神社まで約6時間の歩行。キャンプは神社の境内で出来るだろうと考えた。
 神社への到着は夕方にしたいので、田子の浦からの出発を10時に設定し、その時間に合わせて東海道線で吉原駅へと向かった。

 天気予報では今日は30度前後の真夏日になるとのこと。神奈川県では朝7時から太陽がギラギラして暑かったが、静岡県に入ると空は曇りになり、太陽の姿はなくなった。
 村山浅間神社まではアスファルトなので、長時間歩くのは山を登りるより辛い。あんな日差しの下で歩いたら、初日からかなりバテただろう。

 吉原駅から田子の浦海岸までは徒歩15分。テトラポットが並ぶ海岸に立ち、意を決して海抜0mからの富士登山をスタートした。
 プリントアウトしてきた村山古道の地図は2万5千分の1のもの。通過していくポイントの情報は記されているが、詳しい道は分からない。まあ何とかなるだろうと、まずは海岸近くにある鈴川の富士塚へ向かうのに、いきなり30分迷った。

 鈴川の富士塚は富士登山の前に、身のケガレを払う場であったという。登山者は海岸から玉石を持ってきてここの砂山に積み上げ、登山の安全を祈願したようだ。
 そこから吉原駅へ戻って踏切を渡り、旧東海道を進みながら左富士を目指す。昨年に原付バイクで東海道五十三次を旅したので、ここはその時に通って記憶があった。

 左富士は東海道で唯一、富士山が左側に見えるという場所で、歌川広重の絵にも描かれている。前回訪れた時は富士山を眺められたが、今回は曇っていて見えなかった。だが、長時間歩く身には、景色よりも曇りの方がありがたい。
 そのまま旧東海道を進んで平家越えを通過し、その先で吉原宿に入るために左折。吉原宿の西木戸跡から富知六所浅間神社へ行くのにまた迷った。

 富知六所浅間神社には立派な大ケヤキや、富士山の火山弾などが祭られていた。それだけにしとけば威厳があるのに、なぜか境内にはドラエモンやピカチュウなどの石碑があり、せっかくの雰囲気をぶち壊していた。

 ここから広見公園に行くのにもまた迷う。富士インターの近くにあった写真スタジオで道を尋ねたところ、親切に公園までの地図をプリントアウトしてくれた。それを見ながら高速沿いに歩いて広見公園に到着。本来は違う道を歩くはずだったのだろう。

 広見公園から県道72号線に進むと、徐々に登りが始まった。この先には道しるべの石碑があり、ガードレールの突き当たりがあるはずなのだが、歩いている県道にそれが出て来ない。
 間違ってるようなので、「中野」という信号を過ぎた先のミニストップで店員に尋ねてたが、村山古道のことは知らないという。たが、村山はここより西だという事は教えてくれた。

 道しるべの石碑は7つあり、2と3の間にローソンがある事は知っていた。コンビニで売られている地図で現在地を確認すると、「中野」の交差点の西にローソンがあった。
 おそらくそこがそのローソンだろう。「中野」の交差点には交番があったので、そこでも道を尋ねてみたが警官も知らない。だが詳細な地図があり、そのローソンの先にもう一軒のローソンがある事が発覚。なんて紛らわしいんだ。

 最初のローソンで店員に聞いてみたが、やはり村山古道の事は知らない。まあ店員が若かったからというのもあるだろう。多分、次のローソンだろうと決めてそちらへ向かい、若い店員にまた聞いてみたが、ここでも知らないとの返答。

 私も1ヶ月前まで知らなかったくらいだから、地元の人間でも村山古道の事を知る者は少ないのだろう。だがコンビニで地図を見た限り、この辺りから北へ向かえば村山浅間神社には着くことは確か。とにかく北へ向ってみると、ようやく石碑の道しるべが現れた。

 ローソンの先にあったので、これは道しるべ3に間違いない。正規のルートに戻ることが出来て、しばらくは順調に進んでいく。
 だが、自動販売機を右に曲がった先からまた迷い、普明会教団の方へ進んでしまった。道は鎖で通行が遮られていたので、その先は教団の敷地だろう。進むのは止めて通過してきた十字路まで戻って西へ向かうと、道しるべとは違う大きな石碑があった。

 道を尋ねたくても歩いてる者がまったくいない。近くにたまたま車が停車していたので、村山浅間神社の場所を尋ねると、カーナビの地図で場所を確認してくれた。それによると大きな石碑を右に曲がって直進すれば神社のようだ。

 そっちへ進むと道しるべが現れ、その先で村山浅間神社に到着した。そうなると、さっきの道しるべは7だから、6の道しるべを見なかったことになる。見落としただけだろうか。とにかく神社に到着出来たので、その事はどうでもいい。

 神社の向かいには山本商店がある事が分かっていた。到着したのは18時で既に店は閉まっていたが、店頭にはタバコ・酒・ジュースの自動販売機があったので、ビールを買って一気に飲み干す。

 境内でテントを張る場所を選んでいると、痩せた白い野良犬がどこからか現れ、私を付回してきた。餌を求めてるだけで、性質の悪い野良犬じゃなかったので、「シッシッ」と追い払うとしつこくは付いてこなかった。

 何度か道に迷ったが、大体は村山古道を歩きながら、予定通りに村山浅間神社まで到着することが出来た。しかし、ここまではまだほんの序章に過ぎない。登山口は神社の横からなので、明日からが本格的な登山。

 重荷を背負いながらの歩行は肩や腰への負担が大きく、夕方頃はかなりバテて、頻繁に休みながら歩いてきた。明日からはもっと勾配もキツくなるはず。果たしてこの先は無事に登っていくことが出来るだろうか。




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