ブータン(8国目) 2018年11月4日


 バングラディシュのディナジプールから、再びインドへ入国するため国境のプリマリを目指す。直行便のバスはないようなので、ラルモニルハット、パットグラム、プリマリと、それぞれバスを乗り継いで行く。(計5時間くらい)
 インド側の国境はチャングラバンダ。ここからマイナグリまでバスで1時間。さらにそこから別のバスで2時間移動し、目的地のジャイガオンまで全て一気に移動。

 ジャイガオンはブータンのプンツォリンに接した国境の町。ここに来たのには理由がある。ブータンを旅行するには1日250ドルを払う公定料金制度というものがあり、それは旅行会社に手配してもらわなければならない。
 金がかかる上に面倒なので、サムドゥプジョンカルの国境で入国は諦めた。だが、このジャイガオンからは ビザなしでブータンに入国出来る裏技があるという。

 インド人とブータン人はパスポート無しで国境を通過できるため、日中はパスポートチェックを行っていないゲートがオープンしている。
 日本人はブータン人と顔が似てるので、何食わぬ顔でゲートを歩けば、警備員にも止められることなく入国が可能らしい。ただ法的にはビザが必要なので、バレた時は自己責任。

 せっかくブータンの真横まで来てるのだから、これを利用して入国しない手はない。ただ、プンツォリンで宿泊は出来ずその先にも進めないので、夜はインドのジャイガオンへ戻る日帰り入国。
 それでもジャイガオンに宿を取って数日行き来すれば、少しはブータンの文化や習慣は味わえる。長旅で肌もすっかり黒くなってるので、ブータン人になりすまして国境を越えて町を徘徊。

 ブータンは王国だが第4代国王の意思に基づき、立憲君主制が推し進められ今は民主化している。宗教は世界で唯一チベット仏教が国教。
 通貨はニュルタムで、物価は日本の約5分の1。正式に旅をすると、宿泊に3食、ガイドドライバー付きの移動が公定料金に含まれてるので、その安さを感じる事は出来ないだろう。

 世界で一番幸せな国と言われるブータンには国の発展を図る指針として、GNP(国民総生産)ではなくGNH(国民幸福量)というものがる。
 ほとんどの国民が幸せだと答える背景には、尊敬されている国王や仏教の信仰心があるのだろう。3食べられて、寝るところがあって、着るものがあれば満足、と思えるのは素晴らしい。ならば、観光客への公定料金制度も廃止して欲しいところだ、と妄想はここまで。

 さて、今回実際に訪れたのは、東京都渋谷区上原にある「ガテモタブン」。ブータン料理の特徴は唐辛子の多用。これを香辛料ではなく野菜として大量に食べるので、世界で一番辛い料理だと表現されることもある。
 注文したのはブータン料理の代表の一つパクシャパ。これは豚バラ肉と大根と唐辛子の炒め煮。それにライスと豆スープにサラダが付いたランチセット。

 似たような煮物は日本にもあるが、唐辛子が効いてるので美味いが辛い。スープはネパールあたりのダルスープと味が似ていた。ちなみにご飯はおかわり自由。
 この店はドラマ「孤独のグルメ」にも登場したようだ。店の前にはなぜだがベートーベンの銅像が置かれていた。その繋がりは彼の傑作「熱情」の曲の暑苦しさと、唐辛子を食べた辛さの暑苦しさなのだろうか。

[この日の写真]




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