宗教都市・天理 (奈良) 2009年1月2日


 昨晩寝床に利用した道の駅太子から明日香村を目指す。途中聞き覚えのある高松塚古墳を見たがパッとしなく、おまけに工事中でブルーシートなどに覆われていた。明日香村では石舞台を見学したがこれもイマイチ。周辺の景色だけは最高だった。

 近くの飛鳥寺には日本最古の仏像があるとのことだったが、金を払ってまで見る気は起きず、そのまま奈良まで北上。途中にはソーメンで有名な三輪があった。一杯食べて行きたかったがこれという場所がなく、走ってるうちに天理に到着してしまった。

 日本で唯一ともいえる宗教都市の天理。その中心にあるのが天理教教会本部である。天理教は江戸時代末に成立した新宗教の一つ。中山みきを教祖とする宗教団体で、教会本部では「教祖」と書いて「おやさま」と呼称しているという。

 教会本部は人間の命の発祥地の中心である「ぢば(地場)」と称する場所を中心に建られている。神社にも似ている造りの本部の周辺には、屋根が瓦の横長で大きな施設がいくつもあり宗教色が漂っていた。

 多くの信者が訪れていた教会本部内は、畳敷きの広間になっていた。そこで見た信者たちの祈り方が少し変わっていた。神社などの二礼、二拍手、一礼ではなく、二礼、四拍手、一礼なのだ。

 他にも興味深かったのは、自分の胸の前で阿波踊りのような手つきをしながら、ブツブツと経を唱えている者がいたこと。また、広間に何本もある柱の根元が賽銭箱になっているのも変わっていた。

 本部は東西南北に入口があり、どこも同様の畳敷きの広間があった。それぞれは板張りの細い廊下で繋がっており、一周出来るようになっている。
 廊下の途中にも祈りの部屋があり、そこには果物が祭られていた。総合的なところから神道に似ているようでもある。おそらくそういった点から作られた新宗教なのだろう。

 本部から天理駅まではアーケードの商店街が1km程続く。入口にあった町の案内地図には「おやさと案内」と書かれていた。教祖である「おやさま」の里ということだろう。
 商店街には個人店がいくつも並んでおり、中には数件の神具店があった。そこでは天理教の衣装である黒いハッピをはじめ、様々な神具が売られている。

 本屋の店頭には「陽気」という小冊子が売られ、冊子の出版社はすぐ近くに建っていた。
 商店街で気付いたのは、企業系の店がほとんどなかったこと。
 唯一あったのはペコちゃんで有名な不二家の店だけ。駅前も散策してみたが、ここでもセブンイレブンとミスター・ドーナツを見ただけである。

 命の発祥地の中心と称される「ぢば(地場)」。通常は、丁寧語の「お」をつけて「おぢば」と呼ばれるようだ。人がこの地を訪れることは故郷に帰ることに値するので、「おぢばがえり」になる。そのためか、駅前などでは「お帰りなさい」や「ようこそおかえり」などという看板を多く見掛けた。

 教会本部の向かいには「天理教学館」という建物があり、通常は一般公開されている。だが、私が訪れたのは正月だったので、4日まで閉館になっていた。ここでもう少し詳しい内容を見聞きしたかったのだが、それが出来なかったのが少々残念だ。




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved