聖地はとても暑かった (マイソール) 2003年2月27日〜28日


 バンガロールからバスに乗ってマイソールに移動した。根城にしたのはバス・スタンドの真裏にあるウッド・ザイド・ロッジという宿。バスの音が少しうるさいが、町へ出るにも次の移動にも何かと都合が良い場所だった。
 日本でも現在主流となっている「アシュタンガ・ヨガ」というスタイルのヨガは、マイソールで始まったものらしい。この地でそのヨガを学ぶために集まってくる者も多いという。

 マイソールのメイン商店街はディバーラージ・マーケット。城壁で囲まれている市場は、まるで中世の迷宮に迷い込んだ様な雰囲気。狭い路地には鮮やかな織物染料が並び、お香や香草、果物や野菜などが山積みになってカラフルだった。

 インド料理の代表的なものにマサラ・ドーサがある。これはクレープみたいなもので、ジャガイモ、タマネギ、キャベツ、豆などが、ロール状に巻かれているもの。宿の近くにはこのマサラ・ドーサ が絶品の店があった。

 町にはシンボルのマイソール宮殿は、英国人建築家ヘンリー・アーウィンが設計した3階建ての建築物。元の宮殿は木造で全焼したがその後に再建されたという。現在は州政府が管理しているようだ。

 宮殿内は土足厳禁で、中へ進むと空港にあるような金属探知のゲートがあった。そのまま進むとブザーが鳴り、女性の係員にカメラを持ってるでしょと聞かれた。宮殿内はカメラの持込が禁止なので、入口で預けなければならないと言う。

 そこまで戻るのを面倒くさそうにしていると「10ルピー払えば持って入ってもいいけど、絶対撮影はしないでね」と言うので、それに応じる事にした。
 それにしても、随分適当な検問である。そんな訳でカメラを持って入ったので、撮影禁止だがこっそりと数枚は撮らせてもらった。

 宮殿を観光した後にチャームンディーの丘へ向かうと、乗っていたバスが麓で故障。パンクのトラブルはよくあったが、完全に動かなくなったのは初めて。しばらく待たされ、次に来たバスに乗り換えて問題はクリア。
 丘の頂上にはチャームンデシュワリ寺院があり、水牛の頭を持つ魔神マヒシャーの巨大像が隣接していた。マイソール湖や宮殿も一望出来て、景色もかなり良かった。

 バスに2時間揺られ、シュラヴァナベルゴーラへも行ってみた。ここは南インド最大のジャイナ教の聖地。町には貯水池を挟んで二つの巨大な一枚岩があり、片側のインドラギリの丘には、高さ18mのゴーマテーシュワラ像が建っている。
 ジャイナ教初代祖師の第二子であるその像は、戒律である無所有を表して服を着てない。だが、股間の一物は、しっかりと皮を被っていた。

 片方のチャンドラギリの丘には、大小14のジャイナ教寺院が建っている。どちらの丘もそうなのだが、上がるのにはジャイナ教の規則で裸足にならなければならない。
 靴を脱ぐのは構わないのだが、この岩の上を裸足で歩くのは大変だった。なぜなら、岩は強烈な日差しに晒されて、とんでもない熱さになっていたのだ。

 とても歩いてられないので、走りながら手摺の影で足を冷やして進んでいった。丘に上がるのは修行でもしてる気分。熱い岩といい、厚い皮を被った裸の像といい、ジャイナ教の聖地はどこも暑い所だった。




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved