1日目 福井(後編) 2017年5月3日


 うるしの里会館から県道18号線で山を抜け国道364号線へ進み、禅で有名な曹洞宗の大本山永平寺へ。
 ここは、今から約770年前に曹洞宗のボス道元によって開かれた道場で、今でも座禅による厳しい修業が行われている寺。

 そのスケジュールは3時半に起床し、座禅(1時間)とお勤めをして7時に朝食。それから掃除と座禅(1時間)、勤行をして12時に昼食。
 午後は作務に座禅(2時間)、勤行をして17時に夕食。そしてまた座禅(2時間)をして21時に就寝というもの。

 食事はもちろん仏教の戒律に基づいた精進料理。この修業を1年間勤めれば、修行僧は坊さんになれるという。
 ただでさえ厳しい修行の上に真冬は零下になる環境なので、辛さに耐えられず逃げ出す修行僧も少なくはないようだ。

 私は大型トラックの運転手という仕事上、朝3時半出勤で19時頃帰宅、それで寝るのは21時半という日も少なくはない。
 寝起きは修行僧と似たリズムだが、酒、女、博打好きな煩悩まみれの私には、こんな修業は到底勤まらない。それを滅する事が出来る坊さんは、やはり偉い人だ。

 永平寺からは県道を北上して東尋坊へ。ここは自殺の名所として有名だが、国の名勝の天然記念物でもある。マグマが冷え固まって出来た五角形、六角形の柱状の岩は、自然の力を強じる勇壮な景色。
 来るまでは凄い断崖を想像していたが、崖の上に立ってもそれ程の迫力を感じなかった。それでも高さは23mあるので、飛び降りれば間違いなく死ぬだろう。

 今日はもうのんびりしようと東尋坊から少し南に戻り、道の駅みくにを今夜の寝床に。夕方までまだ時間があったので、折り畳み自転車を出して芦原温泉へ。
 明治17年に開湯した福井県最大の温泉街らしいが、駅前に和風な旅館がいくつかあっただけ。賑やかな温泉街を想像していたが、人もまばらでひっそりとしていた。

 目ぼしい日帰り温泉も見当たらなかったので、駅前にあった無料の足湯に浸かって温泉気分。その後、道の駅に戻る途中で、スーパーに寄って食料と地酒をゲット。
 車に戻って昼間買った湯飲みに酒を注ぎ、肉や刺身で初日の晩餐。今頃は永平寺の修行僧は精進料理で夕食中だろうかと、地酒を飲みながら瞑想、ではなく酩酊した。

[この日の写真]




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved