島の特産品を味わう 2009年6月21日


 昨晩振り出した雨は止まず今日は天気が悪い。東京から離れた諸島では梅雨は関係ないかと思ったが、そんな事は勝手な思い込み。おまけに島なので風が物凄いく強い。
 二度寝して起きると、イスラエルの女のテントがなくなっていた。どうやら早々帰ってしまったようだ。一緒に飯など食えるかと期待していたが、こっちの天気も悪かった。

 雨じゃどこへ行っても景色が見れない。今日はテントでのんびりしようかと思ったが、雨漏りしてるのでどうにも落ち着かない。どこかに屋根がないかと底土キャンプ場を見て回ると、奥の方に屋根付きの休憩場があった。すぐにそちらへテントを移動した。

 数人いたキャンプ客は素潜りが目的のようで、槍を片手に頻繁に海に潜りに行ってた。あちらは海の中なので、雨でも関係なくて羨ましい。こちらは雨だと何も出来ないのだ。八丈島の周辺は全てがダイブポイントで、ダイバーにとっては天国のような島とのことだ。

 キャンプ場の横の底土港は使用されてないのかと思っていたが、10時頃にフェリーが出発していた。ターミナルに確認しに行くとそれは青ヶ島行きの船ではなく、東京行きの船。潮や天候の状況によって八重根港か底土港か出発するターミナルが変わるようだ。だが、青ヶ島行きは常に八重根港から出航するという。

 テントでのんびりしていてもつまらないので、合羽を着て島巡りに出た。目的は土産物探しと島の郷土料理である「島寿司」。これは醤油ダレに漬け込んだメダイ、オナガダイ、アオダイ、トビウオなどのネタの寿司を、わさびではなく、洋からしで味付けした郷土料理。

 どこの家庭でも作るという島寿司は、遠い昔、長い船旅用の弁当として工夫されたものと、島には伝わっているという。この島寿司を食べれる場所を地元民に聞いたところ、それなら「あそこ寿司」がいいと教えられた。

 店を探しに島の中心部へ向かうと、キャンプ場のすぐ近くに「鬼ごろし」と書かれた石碑があった。何で日本酒の石碑がこんな所にあるのだろうかと疑問に思ったが、後にそれは島酒の鬼ごろしで、日本酒ではく芋焼酎であることを知った。

 島を走っている車のナンバーは品川。離島に来ているのにこの「品川ナンバー」を目にすると、何だが都内にいるようで変な気分になる。まあ実際ここは東京なのだからそれは当たり前なのだが。

 あそこ寿司を見つけたが時間が早くまだ準備中。とりあえず場所が分かったので、他にも探してみようと役場に向かって歩いていると酒屋を発見。
 店内に入ると様々な島酒が売られていた。「島の華」「黄八丈」「八重椿」「黒潮」「情け嶋」といった麦やさつまいも焼酎が代表的なところのようだ。

 伊豆諸島の珍味である独特の匂いを放つくさやも「ちぎりくさや」という商品で売られたいた。くさやは島ごとにそれぞれ特徴があるようで、匂いが比較的ソフトで一番食べやすいのが八丈島のくさやだという。

 酒屋の店主に島寿司の事を聞いてみると、スーパーあさぬまに売っているとの情報を得た。これが一番安く買えるものだという。行ってみるとメダイの島寿司が5貫500円と10貫1000円、ちぎりくさやもさっきの酒屋より安く売っていた。
 他にも島の名物である「あしたば」を使用した商品などもあった。ここで島寿司にくさや、島酒の八重椿を購入して寝床のテントへ戻った。

 雨じゃ行く場所もやる事も特にないので、買ってきた八重椿で早々に宴をあげた。さつまいもから作られたこの焼酎の味はなかなか。ちぎりくさやも焼酎のつまみにぴったりだ。
 そして、からしが効いた島寿司は、独特の味と島に来ている実感を味わえた。島の特産品だけでなく、梅雨時のキャンプの面倒さも同時に味わった日でもあった。




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