あるはずのものが (昆明) 2009年8月12日〜13日


 麗江でビザを取得して再び昆明に戻ってきた。ここには待ち望んでいた物がある。それは日本から送られた単三電池を使用するデジカメだ。
 私が今使用しているデジカメはCR−V3というデジカメ専用電池を使用する。これが中国ではなかなか売ってなくて困っていたので、これでようやく電池の心配がいらなくなる。

 鼻歌を歌いながら昆明国際郵政支局に行ってみると、なんとカメラがまだ届いてない。既に一週間以上は経っているので、日数的に考えれば届いていない方がおかしい。
 届いた小包の宛名が記入されているノートを何度も見たが、私の名前はどこにもない。局の人間にも確認してもらっても、やはり私の名前はない。

 最初に別の郵便局で教わった住所を見せ「ここの住所はこれだよね」と確認すると、なんとその番地が間違ってるじゃないか。私が聞いた住所は北京路225だが、231が正確な住所だった。

 そもそも郵便局の局員が番地を間違えるとはどういうことだ。しかもたった6番地しか違わぬ中途半端な間違い。
 小包が届いているかよりも、その行方の方が問題になってきた。EMSの番号を控えていれば追跡調査で所在が知れたのだが、番号を知らなかったので調べようがなかった。

 最初の郵便局で聞いた荷物が届く日数は1週間。家族からのメールでは、日本からは3,4日で届くと言ってた。しかし、この支局の局員は20日かかると言う。
 今や日本を越える勢いの経済大国である中国。それにいくら雲南省といえども昆明は大都会だし、中国は日本の隣だ。船でもないのに20日はいくらなんでもかかりすぎだろう。

 しかし、無いものは仕方ない。てっきり届いてると決め付けていた私は、次の町へ行く1時間後のバスのチケットを既に買ってしまっていた。
 仮にそれを破棄したところで、いつ着くか分からない小包(もしくは行方不明)を、こんな物価が高い大都会で何日も待ってられない。瞬時に頭を捻り最善策を考えた。

 最悪20日かかったとすれば、小包が届くのは今から1週間後。その頃には、私は広州という広東省の省都の近くにいるはず。ならばここに届いた小包を、その広州の郵便局に送って貰えばいいじゃないか。

 英語があまり分からない局員にその旨を尋ねると、小包を送るのは可能だという。しかし、重さによって料金が違うので送料が分からない。だから、小包が届いたら料金を知らせるから、その後で送料をこの郵便局に送ってくれという。そんな面倒なことをしていたら、広州に何日いなければいいか分からない。

 とにかく送料を聞いてみると、最初の1kgまでは26元で、その後1キロ毎に12元加算されるという。小包の中身はカメラなので重さは2kgもないだろう。3kgと考えても50元あれば足りる。その金を置いていくから、送ってくれと頼んだ。
 最初は無理だと断られていたが、必死に粘っていると渋々了解してくれた。さらには、もし小包が届かなかったら、このお金を広州の郵便局に送るとまで言ってくれた。

 そもそも宛先の番地が間違っていたので、肝心の小包が昆明の郵便局に届くかどうかが問題だが、この最善策を取っていれば後で受け取る事が可能だ。残る問題は一つ。その間の電池だ。

 最初に昆明で買ったデジカメ電池のCRーV3は、写真を撮りすぎたためか4日ほどしか持たなかった。幸い麗江でもこのデジカメ専用電池が売っていたので、それを買って今日まで持たせてきた。
 カメラを受け取るまでさらに1週間。新しい電池が必要なので、昆明でそのCR−V3が唯一売っている店で買っていくことにした。

 前回購入時の料金は135元だったが、なんと150元に値上がりしていた。おそらく私が前に買ったので、売れるだろうと値上げしたのだろう。大体135元でも高いし、麗江では65元で売ってたのだ。

 その事を話して、どうにか100元までまけさせた。それでも日本で買う倍の料金だ。売ってる可能性が限りなく低いこのCR−V3。広州でカメラを受け取る日まで、ここで買った電池でどうにか持たせるしかない。




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