ビザ取得に四苦八苦・前編 (麗江) 2009年8月6日〜12日


 中国は2週間までの滞在ならビザなしで旅行できる。私はラオスからノービザで中国へ入国したが、2週間だけの滞在ではない。雲南省から北京までを1ヶ月かけて旅するので、当然ビザが必要だ。

 そのビザは事前に取得してなくても、雲南省では1ヶ月の観光ビザが入国後でも取れるとのことだった。北京や上海ではそれは難しいようだが、民族が自治している雲南省ではその辺の法律が緩いのだろう。
 1ヶ月ビザの取得には、ノービザで滞在出来る日数が少ない方がいいとの話だったので、私は日数的に都合の合う麗江でビザを取得する計画でいた。

 その麗江に到着したのは木曜日。ビザを扱う「公安局外国人出入境管理処」は土日が休みなので、翌日金曜日の朝一番に訪れた。
 すると、そこは建物があるだけでもぬけの殻。なんと移転してしまってるでないか。ビザを取るどころか、まずは公安を探すことから始めなくてはならなくなった。

 その跡地におっちゃんがいたので移動した場所を聞き、その方向へ歩いて行ったが全然見つからない。人に聞けば聞くほどその答えは「あっちだ、こっちだ」と滅茶苦茶で、余計に分からなくなる。
 どうにも見つからないので一旦宿に戻って地図を取り、跡地にいたおっちゃんにもう一度場所を尋ねた。

 地図で指差されたのは、やはりさっきまで散策していた場所。もう一度その周辺に行って聞き込みを繰り返したが、誰も公安の場所なんて知らない。仕方なくウロウロしていると停車している公安の車を発見。場所を聞いてみればまだ先だという。
 ようやく公安に着いた時は11時27分。それは午前中の受付終了の3分前だったので、まさに滑り込みセーフだ。間に合わなければ午後の受付は14時30分からだった。

 ビザ発行に必要なのは写真一枚と手数料だけかと思っていたが、宿泊先の住所や電話番号が必要だった。せっかく午前中の受付に滑り込めたのに、それを調べて午後にまた再訪する羽目になるとは。
 意外にも片言の日本語を話せた受付の係員は「これを宿の人に見せてください」と、漢字で文章が書き込まれたメモ紙を渡してきた。

 宿に戻りそのメモ紙を見せると、受付の夫婦は何やら揉め出した。そして「ノー」と首を横に振られ、他の宿に移れと宿泊代金を返してきた。
 一体このメモ紙には何が書かれてるんだ。公安の係員は電話を掛ければすぐ分かると言っていた。そのことから考えると、私がここに泊まっている確認ができればいいのだろう。メモ紙の内容はそういった事だろうか。

 すると、この宿は潜りか何かで公安とは関わりたくないので、他所へ移れと言ってきたのか。とにかく、何だか理由は分からないが出てけと言うなら仕方ない。
 近くで新たな宿を探し出し、念のためチェックインの前にメモ紙を見せた。宿のおばちゃんは何やらブツブツ言ってたが、泊まれたので問題はないのだろう。

 新たな宿の住所と電話番号を控えて午後に再度公安を訪れると、外国人用のカウンターに係員がいない。他のカウンターには係員がいたので聞いてみると、今日はもう終わりだから月曜日の朝にもう一度来いという。

 何で誰もいないんだとしつこく理由を聞いてると、午前中とは違う女の係員がやって来た。英語が話せる奴はいないかと聞くと、他の部署に電話を掛けてくれ、渡された受話器の向こうで英語が話せる奴が対応してきた。

 誰もいない理由を聞いてみると、なんと会議をしてるからだという。そして今日はもう受付は終了なので、月曜日に来いという。
 どうして勤務中に会議などするのか。ましてや係員がいなくなるとはどういうことだ。文化の違いなのか、まったく理解できない。結局ビザは貰えず、また月曜日に公安へ足を運ばなければならなくなった。 (後編に続く)




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