1日目 前編 2018年9月22日


 神奈川県から車で国道16号、299号線と走り、道の駅ちちぶに8時前に到着。車はデポして折り畳み自転車を出し、まずは6Km先にある1番四萬部寺へと向かう。
 スタートになる1番はこじんまりした寺で、これから三十四観音巡りが始まる盛り上がりには少々欠けた。

 神仏霊場巡りには大抵は納経帳が売られてる。それを買って御朱印を押し、訪れた証を刻むスタンプラリー的な楽しみ方も出来る。
 本来それは功徳を積んだことで極楽浄土へ行けると考えられ、そもそもはありがたいもの。但し1押し300円掛かるので、極楽行きは無料ではない。

 私はかつて四国、九州の八十八ヵ所、坂東、西国の三十三ヵ所を経験積み。だが信仰心もなく煩悩まみれなので、納経やご御朱印などは一度もした事がない。
 たまにはブッダに感謝し、今回初めてやろうかと四萬部寺の社務所で納経帳を選んでみたが、1押し300円×34ヵ所=約1万円という費用がそれを制した。

 江戸時代から続く観音巡りの風習には興味があるが、はっきり言って極楽行きとかはどうでもいい。突き詰めれば死んだら肉体は物質へと変わるだけ。
 なのでその金は、現存の肉体に与える食と酒の費用に。仏教の出発点も一切皆苦(人生は思い通りにならない)と知ること。自ら四苦八苦をしなくてもいいだろう。

 2番真福寺は山の上にあり、いきなり勾配のある坂道が出現。折り畳み自転車は小さいので、デカい体の私には漕ぎ辛く、坂道は押して歩いた方がまだ楽だった。
 ここもこじんまりした寺で、本堂脇には「納経は光明寺で扱っております」との立て看板。常駐してる住職はいないのか、効率的な寺経営をしてるのか。

 他にも「当山では散骨は認めません」との張り紙もあった。過去に何回か真福寺の名を騙り、散骨のパンフレットが出ているとのこと。
 遺骨をそのままの形で廃棄した者は罪に問われる。だが粉状にすれば散骨は可能。だからといってどこに捨ててもいいわけじゃないのだろう。

 次へ向かおうと坂道をゆずの歌のごとく「ブレーキいっぱい握りしめて、ゆっくりゆっくり下ってく」と、何だかゴム臭がしてブレーキの効きが悪くなった。
 自転車を停めて後輪を見ると、中心部分から煙が出てるじゃないか。火のない所に煙は立たないので考えられるのは、急坂の摩擦でブレーキパッドが溶けたということ。

 幸先悪い出だしだ。前輪はまだ効くので徐行は出来るが、もし木立の間からひょっこりはんが突然現れたら、停止出来ずに轢き殺してしまうだろう状態。
 なので下り坂も押して歩き、勾配がゆるやかりなった所から運転。この先どこかでパッドが焼き切れてしまった時は、映画「ET」のように空を飛びますようにと、次の寺で願うことにしよう。

[この日の写真]




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