終着駅から折り返し (鹿児島) 2011年11月14日


 八十八ヶ所巡りの途中で、鹿児島から奄美大島に渡ることにしていた。今日はそのフェリーが出航する鹿児島北埠頭に17時までに到着すればいい。指宿から鹿児島市内まではそれ程遠くなく、巡る寺も3つだけなので時間に余裕がある。

 どこを観光してどのルートを走ろうかと地図を見ると、西に最南端終着駅がある枕崎があった。ここはカツオも有名な場所。2つに興味が沸いたので、ひとまず指宿から枕崎を目指すことにした。

 オーストラリアの森を出発した後、指宿市内で47番光明寺を参拝し、世界一の大ウナギが見れるという池田湖へ向かった。湖畔に着いて知ったは、ここが未知の巨大生物「イッシー」の棲家だったこと。
 イッシーが話題になったのは30年位前で、当時子供だった私にも記憶がある。多くの目撃情報があったがはっきりとした確認はなく、未だに謎に包まれている生物だ。

 イッシーの名前やブームの由来は、イギリスのスコットランドにあるネス湖のネッシーだろう。私はネス湖に行ったことがあるが、それが嘘だったという事は知っていた。
 湖を泳ぐ恐竜のような写真でネッシーは有名だったが、あれは模型を浮かべて撮ったもの。撮影者が亡くなる直前に、トリックであったことを告白したのだ。

 イギリスではUFOの着陸跡と騒がれたミステリー・サークルも、2人組の老人による悪戯だったはず。ジョークが好きな民族なのだろう。イッシーの真相はいかなるものか。

 世界一の大ウナギは嘘でなく、ボート乗り場にある水槽で見る事ができた。その大きさは長さ2m、胴まわり30cmといったもの。湖にこの大ウナギが棲むことが、イッシー伝説の火種になってるのだろう。

 この地でイッシーよりもメジャーなのは、薩摩富士の通称で知られる開聞岳。国道226号線の富士見PA周辺からは、まさに富士山のようなシルエットの開聞岳を眺めることが出来た。この山を見るとCMの効果か、焼酎「白波」を思い出す。

 226号線を西へ30kmほど走り、目的地の最南端終着駅の枕崎へ到着。「最北端終着駅の稚内まで3140km」と書かれたアーチ看板をくぐり、無人駅のホームでレールの途切れを見た。これを見なければ終着駅という実感が得られない。

 枕崎でもう一つ有名なのはカツオ。特に頭を煮込んだ「ビンタ料理」が人気らしい。まだ昼前で腹が減ってないが、ここまで来たらカツオは食いたい。駅の横にタイヨーというスーパーがあったので、そこで刺身を買って味わっていった。

 九州を一周の距離で計算したらまだ中間地点ではないが、これからは北上になるので、ようやく折り返しに至った気分だ。
 枕崎から国道270号線で北上し、30kmほど進んで道の駅「きんぽう木花館」で昼休憩。向かいにはちょっとした展望台があり、周辺に広がる田園風景も同時に味わう事が出来た。

 昼飯を済ませて少し移動し、アカウミガメの産卵地である吹上浜を観光。この日は風が強かったので、白砂のビーチには風紋が出来ていた。浜までの松林の道もなかなか良かった。この浜はウミガメだけでなく、北朝鮮による拉致現場としても有名なようだ。

 日置市で県道37号線に入り49番剣山寺を参拝。今まで訪れた寺では民家のような建物がいくつかあったが、ここなんとプレハブだった。まるで潜りのような寺である。八十八ヶ所巡りはさらにマイナーさが増している気がする。

 その後、伊集院駅から県道24号線で東へ進み、鹿児島市内で45番大歓寺を参拝。鹿児島に来るのは3度目で、この年の初めにも屋久島へ行くのに訪れていた。
 フェリーの出発時間まで少し余裕があったが、過去に市内観光はしているので特に行くところはない。早めに埠頭へ行って休むことにした。

 埠頭からは目前にある桜島がよく見渡せる。この日も雄大な姿を眺める事が出来たが、今回違っていたのは噴煙を上げていたことだ。どうやら最近噴火したようで、埠頭にある公園にはその火山灰がうっすら積もっていた。

 東京を出発してからここまで2週間。休むことなくひたすらに走ってきた。だが、明日から3日間は奄美大島で休憩を兼ねたプチバカンス。溜まった疲れのマグマを桜島のように噴火させ、リフレッシュした後で寺巡りは再開だ。

[この日の写真]




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