どげんかせんといかん (宮崎〜鹿児島) 2011年11月12日


 伊勢ヶ浜を出発し、今日は行き過ぎることなく34番中野寺を参拝。その後、国道10号線を南下して、都濃の町で35番行真寺と36番貫川寺を巡った。この周辺にはワイナリーがあり、都濃ワインが有名なようだった。周辺ものどかな雰囲気ですごく良かった。

 再び10号線を南下して宮崎の中心部へ向かっていると、前輪ブレーキに違和感を感じた。調べてみると、レバーの付け根のワイヤーが今にも切れそうな状態に。これは直さなければと考えながら走っていると、すぐ先にバイク屋があった。何て運がいいのだろう。

 しかし、店にいたのはおばちゃんだけで、修理出来る旦那は昼まで帰ってこないという。2,3時間もここで待ってられないし、まだ後輪ブレーキがある。宮崎市内に行けば絶対バイク屋があるだろうと、この店は断念して先へ進んだ。

 その予想は的中し、宮崎神宮駅の近くで「HONDA WING」を発見。スーパーカブはホンダのバイクなのでまさにビンゴだ。おまけに、ワイヤーの在庫もあり、すぐに修理に取り掛かってくれた。

 修理を待つ間を利用して、近くの宮崎神宮まで散歩。この日は土曜日で七五三の時期だったので、境内は正装した親子で賑わっていた。もう一つ賑わっていたのが、裏の参道口にたむろしていたニワトリだ。

 神社で飼ってるのだろうかと、入口脇で野菜を売る婆さんに話を聞いてみると、これらは「のらニワトリ」だという。しかも、そのほとんどがオス。卵を産むことができないオスは使えないので、捨てられることがあるという。鶏で有名な宮崎ならではの話である。

 修理も済んでバイクも復活。すぐ近くの37番香泉寺を参拝して宮崎駅近くへ行くと、特設ステージが組まれ人で賑わっていた。何だろうと覗いてみると、ステージ前には着ぐるみのキャラクターが何体もいて、子供たちの声援を受けていた。

 ゆるキャラ祭りかとスタッフに話を聞くと、これは宮崎の新キャラクターが誕生したお披露目会とのこと。その為に県外から代表キャラクターが応援に集っていたのだ。すぐ後にメインの新キャラが登場するというので、それも見ていくことにした。

 ほとんどが見たことないキャラだったが、中に一人だけ有名なのがいた。それは、物議を醸して騒がれた奈良県のマスコット「せんとくん」だ。さすがにこれには嬉しくなり、思わず一緒に記念撮影してしまった。
 メインで登場した宮崎の新キャラクターは「みやざき犬」という3匹のマスコットで、考えたのは県民ではなく、千葉県の女性だった。この辺の選考基準はよく分からない。

「どげんかせんといかん」のフレーズで有名だった東国原氏の穴は、代わりの人気者を作って埋める必要があるのだろう。せんとくんも奈良県で「せんと、イカン!」と非難されてたので、そのイメージを払拭する為に、社会奉仕としてここに駆けつけたのかもしれない。

 中心部の外れで38番長久寺を参拝し、国道220号線に出て南下。宮崎空港の辺りは側道に椰子の木が立ち並び、南国ムードたっぷりだった。その先には巨人軍のキャンプ地で有名な球場もあった。

 快適な道を走りながら心地良い風を受けていたので、重要な事をすっかり忘れていた。だが、気付いた時はもう手遅れ。なんと球場の横でガス欠になってしまった。
 だが不幸中の幸いで、1km歩いただけでガソリンスタンドを発見。もしこれが山の中だったら、それこそ「どげんかせんといかん」事になっていただろう。

 海沿いになった220号線をさらに南下し、油津で39番潮満寺、目井津で40番西明寺を参拝。西明寺は柵がない線路の真横にあり、渡って入るという変わった立地にあった。ここから海岸を離れ西へ向かい、国道222号線で都城を目指す。

 油津の先の飫肥は城下町で雰囲気があったが、観光する時間がないのでやむなく通り過ぎたが、この先からの222号線が最高だった。車もほとんど走ってなく、周辺は活き活きとした山景色。森林浴を満喫出来る、まさにツーリングといったコースだった。

 極めつけは道の駅坂谷の奥にあった坂元棚田。ひっそりとした山奥に人間が作り出した芸術が広がり、その風景はまさに見事だった。
 この棚田は昭和初期に作られたもので、全国的に類がない幾何学的な整備。田んぼの面積や畦道の幅などからは、馬耕の思想が見られるという。

 222号線でさらに西へ向かい、日没前に今夜のキャンプ予定地である花房峡いこいの森の到着。だが、キャンプ場はオフシーズンで使用できないと管理人に告げられた。暗くなってから忍び込む手もあったが、一度顔を見られたので諦めることに。
 しかし、手前にあった農業体験場へ行ってみると、ここが絶好のキャンプポイント。人目に付きにくい視角があったので、ここなら見回りにも来ないだろうとテントを広げた。

 今日はどげんかせんといかんハプニングが何度かあったが、どれも運良く回避することが出来た。ただ、毎日痛む腰だけは悩みの種。これだけは本当にどうにかしなかればならない。こういう旅をしているので、風呂に入るのは1週間に1度くらい。「銭湯に行かん」のが、痛みの原因の一つだろうか。

[この日の写真]




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