東寺から出発 (京都〜兵庫) 2011年11月5日


 原付のスーパーカブで東京日本橋を出発し、53の宿場と歌川広重の絵の場所を巡りながら京都までやって来た。ここからは第2部となる西国街道の旅がスタート。東海道と同様に宿場を巡りながら、京都から下関までバイクで走っていく。

 西国街道の起点は京都の東寺で、そこから下関の赤間神宮までを結ぶ約500kmの街道。整備されたのは江戸時代たが、五街道(東海道、日光街道、奥州街道、中山道、甲州街道)には入らず、脇街道とされたようだ。

 西国街道は近世山陽道と呼ばれることもあり、京都から西宮までを西国街道(山崎道)、西宮から下関までを山陽道と区別されることもある。何だかややこしいので、ここでは西国街道で統一することにする。
 また、宿場の数もはっきり分からなかったので、「矢掛宿本陣に掲載している資料」と書いてあったサイトの情報を元に、宿場の数は51として巡ることにした。

 東海道では歌川広重の絵の場所を訪れるという楽しみがあったが、西国街道にはそれがない。宿場で古いものを見るだけじゃ飽きるので、近くにある観光名所も訪れながら、個人的な「西国街道五十一次」の写真を撮る事にした。

 昨日までの4日間は天気に恵まれていたが、今日の天気予報は昼から雨。考えただけでも走るのが嫌になるが、日程を考えると休んでいる暇はない。防寒防水対策はしてあるので、寒さを我慢して走るしかない。

 東海道と同様に西国街道の宿場から宿場へは、自作した文章地図だけが頼り。持ってきた地図は岡山以西の中国地方と九州沖縄の2冊だけだし、そもそも細かな街道を走るので大きな地図は役に立たない。
 旧街道は出来るだけ調べたが、どこまで合っているか分からない。まあ目的は街道よりも下関まで走ることなので、その辺はこだわらなかった。

 昨晩キャンプした桂川の土手から東寺へ行き、そこから西国街道の旅をスタートした。旧道を走りながらまず向かったのが山崎宿。整備されたが  サントリーのウイスキー「山崎」は知っていたが、その蒸留所がここにあるとは知らなかった。この地が日本のウイスキー発祥地であるようだ。ちなみに、山崎駅前にある離宮八幡宮は本邦製油発祥の地だという。

 次の芥川宿で印象的だったのは、八百鶴という寿司屋がある商店街の入口。ここは江戸時代初期に少年が父親の仇討ちをした「仇討ちの辻」という場所だった。
 近くには今塚城古墳があったので寄り道して観光。6世紀前半に作られたこの古墳は、当時のものとして最大級の前方後円墳。全体の形は空からじゃないと分からないので、近くで見るとただの森。それでも復元された埴輪があったので雰囲気は楽しめた。

 郡山宿の後は街道から離れ、万博記念公園へ行く為に南下。向かう途中で天気予報通り雨が降ってきた。被っているヘルメットは半帽なので、ゴーグルをして目に当たる雨粒を防ぎながら走る。
 万博公園で見たかったのは、岡本太郎が製作した太陽の塔。今見てもかなりのインパクトがあるが、1970年当時にこれを見た人々も衝撃を受けただろう。

 瀬川宿に行く前に箕面公園に寄り道。ここは東海自然歩道の西の起点である事は知っていた。東海自然歩道とは、東京の高尾山から箕面公園を結ぶ全長約1700kmの自然道。私は全てを走破しようと東京から出発した事が過去にあるが、その時は3日目で根を上げて断念した。

 昆陽宿としては武庫川沿いにあるコスモス園を訪れた。ここは「髭の渡し」と呼ばれていた渡し場跡。開花時期とちょうど重なっていたので、ピンクや黄色のコスモスで埋め尽くされた河川敷を見る事が出来た。見学も駐車場も無料ということで運営が厳しく、最近は協力金を募っているようだ。

 頻繁に見ている文章地図の紙を、用意してきたクリアファイルに入れるのが遅れた為、文字が雨に濡れて滲んでしまった。かろうじて読む事は出来たが、数ヶ所は信号名や曲がるポイントが分からくなってしまった。その辺はかろうじて残る記憶を頼るしかない。

 甲子園球場と西宮神社を見た後、国道2号線をひたすら走って神戸ポートタワーに到着。神戸は過去に数回来ているので新鮮味はあまりない。ましてや雨風が強くなって寒いので、そんな感動も簡単に吹き飛ばされた。

 兵庫宿の柳原えびす神社に到着したのが16時半頃。テントで早く寒さを凌ぎたいとコンビニで地図を見ると、近くのホームズ・スタジアム神戸に公園があることが分かった。そこへ行ってみたが雨を凌げる東屋はなく、キャンプするスペースもなくて条件が悪い。

 雨ざらしでも人が来ない確実な場所がいいと、別のコンビニで店員に情報を聞くと、次の明石までに2つのビーチがあることが分かった。
 キャンプ地はビーチにしようと2号線を走っていくと、塩屋駅の先で平磯芝生広場という公園を発見。東屋もあったので、今夜の寝床はここに決定することにした。

 まだテントは張らずに公園の様子を伺おうと、夜飯を食いながら東屋で休憩。天気が悪いが、犬の散歩などでたまに人がやって来る。
 雨は凌げるが東屋では目立つので、人目に付かない植木の裏にテントを張ることにした。そこで焼酎のお湯割で体を温めて、早々と眠りに就いた。

[この日の写真]




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved