何もかも下り気味 (テクナフ) 2003年6月19日〜21日


 コックス・バザールのバス・ターミナルでテクナフ行きのバスを待っている間、いろんな奴が話し掛けてきた。誰と話しても言われるのが、この国には資源がない、学力があってもビザなどが取れず、日本などにも行く事が出来ないということ。
 中にやたらと質問してきて、パスポートまで見せろと言ってきたおやじがいた。何者かと不信に思ったら、この男は私服刑事だった。

 時折激しい雨が降ったり、バスがパンクして修理になったりしながら、テクナフまで3時間の道のり。テクナフでは「NAF QUEEN INTERNATIONAL」にチェックイン。バスルームはないが、シングルで50タカと安く、バスターミナルにも近い宿だった。

 テクナフまで南下してきたのは、本土の南端から13kmに位置するバングラデシュ最南端の島であるセント・マーティン島へ行くためだった。
 珊瑚礁で造られた島の周囲は椰子の木とビーチに囲まれており、島そのものは1日あれば歩いて周れる程小さく、美しい光景が堪能出来るという島だ。

 テクナフの町は未舗装の道路が多く、激しい雨が降った後は酷い状態になっていた。凄く水が溜まってしまっている場所や、まるで泥沼を歩いているよう場所もあった。しかし、宿にいても暇なので、そんな状態の道を歩きながら町を散策した。

 市場ではミャンマー製の布を売っている店が多くあった。このテクナフ周辺にもラカイン族が住んでいるようだ。港町なので魚があちこちで売っており、雨上がりで気温が上昇しているためか、町全体が魚臭くもあった。

 歩いている途中で突然警察に呼び止められ、パスポートの提示を促されたりもした。外人の行動が監視されているような国や場所では仕方のない事なのだが、こんな風に止められるのは快く思えない。
 パスポートを提示している時も、周りには随分な人だかりが出来ていたが、これにはもうすっかり慣れていた。

 一週間前に日本人の旅行者が来たと、食堂の従業員から聞いた。ツーリスト産業がなく観光客もまず見かけない、それこそ本当に外国という状況の中にいることを味わえるこのバングラデシュ。そんな状況を結構楽しんではいるが、たまにはこの国を旅行している旅人に出会い、話を共感したくもなる。

 今日は天気が悪く波も高いので、セント・マーティン島行きの船は出航してなかった。明日に天気を期待したが翌日も小雨。
 折角ここまで来たのだから、この雨の中でも島へ向かおうとボート乗り場へ行ったが、10時半発の船は出航せずまた14時に来いと言う。船が出ない理由は、今日が金曜日でイスラムの祈りの日だった為だろうか。

 よく分からないが諦めて宿に戻った。風邪と下痢を抱えていので、宿で横になっていると寝てしまった。昼を過ぎても雨は止まなかったし、体もだるくなってきたので、今日も島へ行くのは諦めた。

 翌日の天気を期待したが、日ごと天気は下り坂になっている。一層激しい雨となってしまったので、もうセント・マーティン島に行くのは止めた。
 腹の具合も下り坂になり、カレー風味の食事も受け付けなくなってきていたので、早くチッタゴンに引き返し、ささやかな中華パーティーでも開くことにした。




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