タイムスリップ (コックス・バザール) 2003年6月17日〜19日


 コックス・バザールの市内には2つの仏教寺院があった。一つの寺院の外観はかなり古く、高床式の木造の寺院の屋根には錆びれたトタン屋根。寺は使用されてないのかと思ったが、中へ入るとちゃんと坊さんがいた。
 外観では分からなかったが、中に入ると建物自体が傾いている。もし地震が起こったら<、間違いなく一発で崩れてしまうだろう。

 もう一つのアガメダ寺院はミャンマースタイルの建物で、こちらはしっかりしていた。丘の上にはパゴタもあった。
 階段の途中には地元の子供たちがたむろしており、外人の私はすっかり彼らの興味の対象になってしまった。写真を撮らせて貰った代わりに買っておいたペンをあげると、みんな喜んでいた。

 コックスバザールからスピード・ボートに乗り、モヘシュカリ島へも行っみた。丘の上にあるアディナート寺院へ向かおうとリキシャのおやじに聞くと、寺院は2つあると言うので丘の上のアディナート寺院だと強く告げた。

 おせっかいなのか勘違いか、案の定おやじは町の中にあるもう一つの寺院へ私を連れて行った。ここじゃなくて丘の上だと言ったばすだと、そっちへ行くように促した。
 事前の料金交渉で寺院までは10タカだったが、到着時に料金で口論。私は何も間違ってないので10タカだけ払い、寺院へと去った。

 アディナート寺院は大したものではなかったが、ここからの景色やのんびりした島の雰囲気は最高だった。島の集落の家屋は竹の家で、太い竹やヤシの幹などを使用した高床式の作りだった。

 島には少数民族のラカイン族とベンガル人が共存してるのか、アジア系の顔立ちをした者を多く見かけた。高床式の家屋とシンプルな生活の様子を見ていると、弥生時代にでもいるような気分になった。

 そんな中をのんびりと歩きながら、最初に連れて行かれた仏教寺院まで戻った。ミャンマースタイルのこの寺の中には、ビルマ文字で書かれた張り紙などがあった。初めて見るタイプの文字はすごく不思議な感じがした。

 寺の周りには土産屋が数件あり、若い女たちがミシンを使い裁縫をしている。彼女たちの頬には、絵を描いたような黄色の化粧がされていた。
 これはタナカという化粧品で、日焼け止めを兼て頬に塗ってるようだ。写真を撮ってもいいかと尋ねたが、嫌なのか恥ずかしのか顔を背けたので、悪い気がして撮るのは止めた。

 数日前にチム・ブックで見たムロン族やここに住むラカイン族など、独自の髪型や服装、化粧や生活スタイルなどを持った民族たちも、やがては一つの方向へ淘汰していくのか。多様性がある民族が共存している方が、この世の中は面白いと感じるのだが。 




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