チェックが厳しい (バンドルボン) 2003年6月14日〜17日


 チッタゴンから北東に80kmほど入った山岳地帯に、チャクマ族やマルマ族などモンゴル系の少数民族が住むランガマティーという町がある。ローカルな土地で面白いとの事を聞いていたので、このランガマティーに行くことした。

 ただし、ここへ行く外国人は事前にパミッションを取得していなければならなかった。何人もの旅人がパミッションなしで行けたと言う事を聞いていたので、多分大丈夫だろうと、パミッションは取得せずに向かった。

 チッタゴンのチロットプール・バススタンドからバスに乗り、のんびりした風景の中を2時間程走った所で軍の監視所があった。案の定、外国人である私一人がバスから下ろされ、パミッションの所持を問われた。

 それが必要である事は知らなかった振りをして、町へ入る事を許可して貰おうと頼み込んだ。しかし、この先では観光客を狙った誘拐や強盗なども起こっているので、パミッションなしでは許可出来ないと断られた。
 持っていても事件に巻き込まれる可能性はあるだろうと、文句を言ってみても無理だったので、結局諦めてチッタゴンに引き返した。

 チッタゴンに戻り、今度はチャンドガオ・バスターミナルへ向かい、そこからバンドルボン行きのバスに乗った。バンドルボンは、マルマ、ムロン、ボンをはじめ13以上の少数民族が住み、独自の生活文化を保持してる丘陵地帯。

 バスが出発して眠りに就き、しばらくして目を覚ますと、南インドを思わせる緑一色の景色の中を走っていた。バンドルボンの手前にも軍のチェックポイントがあり、ここでも外国人の私が一人下ろされ、パスポートを提示して名前や住所などを書かされた。

 バンドルボンで目当ての宿を2件訪ねたがどちらも満室。他にもう2件行ったが、そこも満室と断られた。何でこんな田舎町の宿がどこも満室なのかと不思議に思った。
 5件目に行った宿でようやく部屋が空いていたが、今はボスがいないのでチェックインするのは30分待ってくれとフロントの男に言われた。

 何軒も断られてイライラしていた私は、なぜ部屋が空いているのにチェックイン出来ないのだと強く聞き返した。フロントの男は、僕はただの従業員だから分からないと、まるで無関係のような発言をする。
 じゃあ何でお前はそこにいるんだと文句を言い続けてると、ちょっと待ってくれと男は奥へ消え、再び現れると今すぐチェックインしても大丈夫だと急に態度を変えた。

 部屋へ案内される時に、階段の手前の部屋にいた男がボスだとフロントの若者に教えられた。多分、このボスは最初からホテルにいたのだろう。ちょっと待てと言ったのは、外人の私を泊まらせるかを考えるためだったのかもしれない。

 田舎町のホテルで4軒も満室と断られたのと、この一件も合わせて、何か関係があるように思えてならなかった。このホテルが無理だったら、ポリス・ステーションにでも行って寝かせてくれと頼もうと考えていたくらいだ。

 町には中国系の顔をした者が多くいた。さんざん満室だと断られたのは、何かそれと関係があるのかもしれない。
 町に入るのに身元の記入が必要だったり、ホテルのチェックインもスムーズにいかなかったり、どこもチェックが厳しいバンドルボンだった。




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