愛鷹山Vルート (距離:21Km) 2013年3月30日


7:20 大棚の滝
7:50 須津山荘
8:30 道標910m
9:30 大岳
10:20 枯れた沢
11:00 位牌沢出合

[ この登山の軌跡 ]

12:10 尾根
13:00 袴腰岳
13:35 第一展望台
14:15 須津山荘
14:40 大棚の滝






 登山にハマッてからバリエーションルートを好み、自宅からアクセスのいい丹沢でそういったルートを歩くようになった。しかし、メジャーな丹沢のVルートは既に開拓し尽くされてるので、地図読みをしながら歩いても、踏跡は明瞭でリボンやペイントの印があって楽しめない。

 一番やりたいのは、道なき道を行く冒険味がある登山。それが可能なルートはマイナーな山に残ると考え、昨年に数回訪れた静岡の愛鷹山でその目星を付けていた。
 それは大岳から東に進んで沢の出合に下り、再び東に登り返して一般ルートに出るもの。等高線図を見ただけでも、その横断は可能じゃないかと考えていた。

 Web上で調べた限り、そのルートを歩いた情報はない。だとすると、踏跡も印もない道の可能性が高く、ここなら求めてる登山が出来る。
 いくらか経験も積んだので、地図もそこそこ読めるようになった。今なら迷わずにその辺りも歩けるに違いない。そこで、狙っていた愛鷹山へ探険にと繰り出した。

 この辺りはバスでのアクセスが無理なので、車で大棚の滝まで行ってまずは須津山荘へ向かう。以前に訪れた時は山荘の中を見なかったのでチェックしてみると、スペースも広くストーブもあった。この山荘裏からキツイ傾斜で大岳へと登り、いよいよ目的のVルートをスタート。

 大岳山頂から呼子岳へ向かう廃道を少しだけ歩き、木々が開けた場所で東へと尾根を下る。進む方向には踏跡があったがそれはすぐに消え、前方は背の高い熊笹に覆われ始めた。
 これを掻き分けながら進むのがえらく大変だった。根が強いのでなかなか倒れない上に、降りていくのはキツイ傾斜。藪の中で転んで脛を擦りむいたりもした。

 足元が見えにくいので、どこが尾根かもよく分からない。とにかく、どうにか歩ける場所を探しながら、強引に突き進んで東へと下っていった。
 1時間ほど格闘しながら熊笹のエリアを抜けると、その先で枯れた沢が出現。方角的にもこれを下れば目的の沢へと降りれるし、藪漕ぎよりも断然歩きやすいので、ここからはこの沢を下ることに。

 沢はさらに上へと伸びていたので、そこを登れば呼子岳へ向かう廃道に出れるかもしれない。沢はそこそこ大きな岩もあったが崩れやすく、ザレた場所も多くあった。
 転ばぬように慎重に下っていくと、右側からの沢との合流地点になった。そっちを登れば、さらに大岳の近くに出れるのかもしれない。だとすれば、わざわざ苦労しながら藪漕ぎをしただけだ。

 それはともかく、沢をさらに下ると水源になった。多分ここは須津川の源流の一つだろう。水が徐々に増え始めた沢を下りきると左側からの沢と合流。ここからは明確な踏跡があった。
 須津山荘から須津川を上って割石峠へ登れるのは知っていたので、多分ここはそのルートのはず。これを辿りながら沢を下ると、道標のある位牌沢出合に出た。

 この先で沢を下から登ってきた単独の女性と会った。期待していた若い山ガールじゃなかったが、登山は熟練の雰囲気を醸す年配の女性。
 私が沢を降りてきた話をすると、それは割石峠に行くものじゃないかと言っていたが、方角からしてそれは別の沢じゃないかと思う。

 それはともかく、彼女からは愛鷹山について色々と聞けた上に、ここにハコネサンショウオの稚魚がいると教えてくれた。彼女と出会わなかったらまず気付かなかったので、珍しいものを見ることが出来てラッキーだった。

 彼女が登ってくる時にもう一人登山者がいたらしく、その人はここから東へ進んで袴腰岳に登ると言っていたという。やはり同じ事をする人間はいるもんだ。
 私が描いたルートはこの辺りにある836mのピークが目印。使用しているGPSロガーが表示する高度はまだ900mだったので、そこを求めてしばらく下ると、東側はとても登れない崖のような場所になってしまった。

 その手前に枯れた沢が東へと伸びる出合があったので、等高線図を見る限り836mピークは既に過ぎている。GPSロガーの高度は正確じゃないし、地図読みした判断ではその枯れた沢を登ればいい。そこで下っていた水のある沢の左岸に渡り、枯れた沢を登ることにした。

 大きな岩が転がる沢を登ると、その先で二股になった。そこを右に進んだ先から次第に勾配がキツくなり足元も脆くなる。とにかく登るしなかいので、ロッククライミングみたいな事もしながら慎重に進み、どうにか尾根に取り付いた。

 東へ進んでいると思ったが、振り返ると正面に鋸岳が見えた、左にはさっきまでいた大岳が見え、右斜めに位牌岳らしきピークがある。
 取り付いた尾根は南東に伸びていた。描いたいたルートは1328mのピークに出る予定だったが、このまま進むとその下にある1248mのピークに出るはず。どっちが袴腰岳かを確認してなかったが、いずれにせよ帰り道となる一般ルートには出れるだろう。

 取り付いた尾根の木には、一箇所だけ白テープがしてあった。誰かしら歩いた者がいるようだが、明確な踏後はなかった。ここから尾根を登ってその上のピークを目指す。
 この辺りも足元はザレ気味で、苔が生えた岩も安定してなかったので、転ばぬように慎重な足取りで傾斜を登りきると明確な踏跡があるルートに出た。

 ここで位牌岳方面から年配の夫婦が歩いてきたので話を聞いてみると、そこは袴腰岳まであと5分という場所だった。
 途中で進む方向を間違えて南東へ進んできたが、これがちょうどよく袴腰岳で結果オーライ。とにかく、大岳から沢に下って上り返すという横断のVルートは達成。袴腰岳からは第一展望台に進み、そこから須津山荘へと下り大棚の滝へと戻った。

 今回の登山は特に前半部で、まさに道なき道を進む事を味わえた。後半部でも人が歩いた気配は少なかったので全体通して大満足。やっぱり求めてるのはコレだ。
 次回もこういう事が出来る山を探し、プチ探険気分を味わいたい。だが、そういう場所を探すは簡単じゃない。それよりも普通のルートを歩いて、単独の山ガールを探す方が簡単かもしれない。 



Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved