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裏妙義・表妙義 2012年10月7日~8日


裏妙義
7:30 国民宿舎
8:30 木戸
9:10 ×印
9:40 分岐
9:50 丁須ノ頭
10:30 赤岩
11:10 烏帽子岩
11:40 三方境
12:10 分岐
12:35 地蔵
12:55 林道
13:00 国民宿舎




[ この登山の軌跡 ]

表妙義
6:45 妙義神社
7:20 大の字
7:55 奥の院
8:10 見晴
8:30 大のぞき
9:05 天狗岩
9:35 相馬岳
10:40 堀切
11:40 鷹返し上部
12:50 中之岳
13:00 中間道分岐
13:50 東屋
14:15 本読みの僧
14:40 大黒の滝
14:55 道の駅みょうぎ

[ この登山の軌跡 ]


1日目 裏妙義 (所要:5時間 距離:7Km)

 1週間前に丹沢の表尾根を寄からヤビツ峠まで縦走したが、途中にある鎖場は大したことなかった。やはり、普通のルートじゃもう満足出来なくなっている。
 間近に控えている連休はどこかに出掛けたい。そこで登りたいと思わせる山がないかと調べてみると、まさにこれという場所を発見。それは群馬県にある妙義山だった。

 標高1104mと低山に分類される妙義山だが、険しい岩場が多くあり、稜線は鎖場が連続する最高難易度の上級者コース。その通過の難しさは、北アルプスの大キレットや剱岳の比ではないという話もあり、滑落死亡事故も多発してる危険な山だ。

 岩登りだが危険箇所には鎖があるので、本当のクライミングをするわけじゃない。中には2,30mの鎖を上り下りする箇所があるが、特別な道具は必要じゃないので、腕力と体力と勇気があれば、上級者コースの縦走は可能と思えた。

 写真や情報だけではその難易度や恐怖感は分からない。知るには実際にこの目で見て体感するしかない。ようやく登りたい山を見つけ、冒険心に火が付いてウズウズしてきたので、2日後には挑戦を決意した。
 妙義山には表と裏のコースがあり、危険箇所が多くあるのは表妙義になる。裏妙義はそれ程危険ではないらしいが、どうせ遠くまで行くのだからと両方を制覇することにした。

 出発日の早朝は雨だったが、天気予報や雲の動きを調べると、群馬県は朝に天気が回復する見込みだったので、それを信じて出発した。
 関越道で埼玉県を抜けるまでは雨がけっこう降っていたが、上信越道に入ってから予報通り止んだ。しかし、路面が濡れているとなると、山の岩場も濡れているはず。

 予定では表妙技から攻めるつもりだったが、濡れた岩場じゃ危険度はさらに倍増する。そこで、まずはそれ程危険ではない裏妙技から登ることにした。
 今日の日中に陽が出れば岩も乾くので、明日はベストなコンディションで表妙技に挑めるはず。もし雨になった場合には、登山は止めて観光でもすればいい。

 裏妙技のスタート地点は国民宿舎。ここから丁須ノ頭、赤岩、烏帽子岩、三方境を周回して戻る縦走だ。危険地帯は2ヶ所で前半にある。レベルは表妙技とは違うが、岩の濡れ具合を確認出来るし、明日の体慣らしにもなるので丁度いいだろう。

 国民宿舎の左側から林道を上がっていくと「熊出没注意」の看板があった。長野県で熊が出没したというニュースを2,3日前に聞いていた。おそらく冬眠前に栄養を蓄えたいが、山に食料がないので麓まで降りてきてるのだろう。
 この辺りは隣が軽井沢で長野にもすぐ近い。出没する可能性もあるので、いつもよりラジオのヴォリュームを上げて山へと入って行った。

 岩が転がる沢を上がり、まずは丁須ノ頭を目指す。何度か鎖場があったがどれも危険ではなく、快調に進んで丁須ノ頭へ到着。ここからは表妙技や周辺がよく眺められた。
 独特な形をした丁須ノ頭の頂上までは鎖があった。2,3m上がればその上に立つことが出来たが、ほぼ垂直でオーバーハング気味。これは危ないと思ったのでわざわざ上がるのは止めた。

 ここから赤岩へ向かう途中が最初の難所。20mの鎖でチムニー状の岩場を下る。上から下を見たが高さも怖さもない。用意してきたゴム付きの軍手をしてすぐに下降した。
 鎖は平気だったが、岩は濡れて滑り易い部分があった。腕力だけに頼らぬように足掛かりを探し、一歩一歩慎重に降りていくとあっけなかった。

 これで20mという高さの感覚も分かったし、下降する際のコツも掴めた。表妙技で連続する鎖場もこの程度ならば、縦走出来る可能性も高いと思え自信が付いた。
 もう一つの難所はその先にある赤岩岸壁のトラバースだが、足場があるので通過は容易かった。かなりの絶壁を想像していたが、それ程の傾斜でもなく木も生えていたので、ここも高度の怖さは感じなかった。

 烏帽子岩を過ぎると岩稜帯は終わり。三方境までは広い森を下り、そこから国民宿舎へと進む道はハイキングのようなものだった。
 林道に出る手前の開けた場所で、歩いてきた裏妙技を見渡せた。あんな所にいたのかとも思えたが、実際に歩いた感想は大したものじゃなかった。

 13時には国民宿舎に戻ったが、キャンプするにはまだ早い。どこか観光する場所がないかフロントで尋ねてみると、荒船山が面白い形をしてると教えてくれた。ここはアニメ「クレヨンしんちゃん」の作者が転落死した山だという。
 1時間で頂上まで行けるらしいが、今日はもう登山はしたくない。近くで見るだけいいと考え、キャンプポイントを探しながら荒船山方面へ向かうことにした。

 妙義山の近くに緑地公園があったので、テントが張れないか確認してみたが、管理小屋がありバーベキューのみだと言われて却下。
 車で移動してる間、14時から15時まで雨がけっこう降った。昼頃は晴れ間もあったので、せっかく乾いた表妙技の岩がまた濡れてしまった。明日は秋晴れになるとの予報なので、これ以上降らないで欲しい。

 もう一つのキャンプ地候補は荒船湖の横にある親水公園。そこへ行く前に下仁田駅近くのスーパーで食料を調達。駅前では祭りが行われ、何台も山車が引かれていた。
 荒船湖に親水公園はなかったが、反対の湖畔に農村公園という絶好のキャンプポイントを発見。駐車場は18時に閉まるようだが、近くに路駐出来るので問題ない。荒船山を見に行くのは面倒になったので、公園の東屋で肉を肴に焼酎で宴を上げた。

 子供を連れた2組の家族が遊んでいたが、17時頃にはどちらも帰って誰も来なくなった。駐車場が閉まる気配はないが、そうなったら面倒なので早めに車を路駐し、明日に備えてテントで早々に眠りに付いた。


2日目 表妙義 (所要:8時間 距離:8Km)

 夜の間に雨が降ることもなく、今日は天気も晴れ。難易度の高いコースを挑むにはベストなコンディションだ。早く寝たので3時には目覚めたが、明るくなった5時半に出発。
 その時に確認したが、農村公園の駐車場は予想通り閉まってなかった。車で道の駅みょうぎに移動した後、準備を整えて表妙義縦走へと繰り出した。

 ルートは妙義神社から稜線へと上がり、相馬岳、鷹返し、中之岳を経て第4石門へ下り、中間道を歩いて道の駅みょうぎへ戻る縦走で、所要は約8時間。
 昨日もそうだが、バッグパックの中身は水4リットルに食料と合羽で計5キロ位。大して重くはないので、鎖場でバランスを崩す程ではない。

 まずは妙義神社から大の字を目指す。早速に鎖場が何度か登場したが、使わなくても登れるレベル。大の字に上がる鎖場はやや傾斜があった。
 3点支持を意識しながら足で登り、鎖は片手で握る程度であまり使わず、後半に腕力を温存するように心がける。

 年に1度はこのコースを歩くという登山者に大の字で会った。先の情報を確認すると、危険箇所には全て鎖があるので、やはり道具は必要ないようだ。といっても、もちろん傾斜がキツイ箇所は多くある。

 進んでいくルートの途中には、中間道に下りれるポイントが3ヶ所ある。もし腕力がなくなったらどこかで下りることは可能だが、歩くからには稜線の全てを縦走したい。さすがに危険だと判断したら、引き返す覚悟も用意はしてある。

 奥の院からやや急な鎖場になったが、まだ怖いというレベルではない。登った先の見晴からは、裏妙義や浅間山がよく見渡せた。
 玉石への鎖場もやや傾斜があったが、アスレチックのような気分。だんだん岩登りも楽しくなってきた。

 難所の一つと思っていたのは、大のぞきからの下降で滑り台状の30mの鎖場。昨日で高さにも慣れていたし、ここでも怖さは感じなかった。ただ、足掛かりが少なかったので、ほとんど腕力に頼って下りた。

 ここを過ぎると相馬岳までは鎖場はなし。尾根が続くので一息付けるが、タルワキ沢から相馬岳へは急斜を下って登り返し。鎖場での腕力はもちろん必要だが、それ以外でもアップダウンが多いので、表妙義の縦走では足腰の体力もいるようだ。

 相馬岳からバラ尾根までもいくつか鎖場があったが、どれもそれ程じゃなかった。堀切の手前に鎖がない急斜面があったが、登りだったか下りだったか忘れてしまった。覚えてないので、大したものじゃなかったのだろう。

 稜線の中間地点の堀切までは、怖さを感じる鎖場はなかった。腕力も体力も残っているので、まだまだイケる。
 この先からがルートのメインで、ここから難所の鷹返しが始まる。緊張感はほとんどなく、どんな所だろうというワクワクした気分が占めていた。

 まずはそこそこの鎖で上がり、梯子で鷹戻しのメインへ入っていく。登りきるまで4段の鎖があり、合計で50mくらいになるのだろうか。傾斜はキツかったがどこも足掛かりがあったので、腕力も使いながら慎重に進めば問題はなかった。
 途中に休めるステップもあるので、息を整え直すことも出来た。最後の4段目はスリルを感じだが、怖いという程ではなかった。

 鷹返しの先から下降する鎖も長さはあったが、ここも難なく進む。下った所に地図を見ていた2人の登山者がいて、この上は中間道かと声を掛けられた。大砲岩から上がってきたようだが、目の前にある垂直に近い鎖を見て、これはおかしいと思ったという。地図を持っているのに、どうしたらこんな間違いをするのか不思議だった。

 その先の東岳へ上がるのに鎖のない急斜面があったが、ここは木の根が出ていたので問題なかった。コブ岩を通過して中之岳に進み、ここから中間道へと下る。長い鎖場が2段あったがここも順調に進み、ようやく危険箇所を全てクリアした。

 中間道から道の駅みょうぎに戻るのは、もうハイキングみたいなもの。下っていくだけかと思ったが意外とアップダウンもあり、せり出した岩の下を歩いたりするコースだった。
 予定通り8時間で道の駅に戻り、最高難易度である表妙義の縦走を無事に達成。久々にたまらない充実感をたっぷりと味わえた。

 かなりの危険地帯を想像していたが、それ程でもなかったので、恐怖で進むことを躊躇う場所は一つもなかった。今回の縦走で岩場の自信も付いたので、徐々にレベルを上げ、次回も満足できるルートに挑みたい。

 帰りは関越道で酷い渋滞に巻き込まれたが、表妙義で滑落して重体ならずに済んだのは幸いだった。ともかく、これから登山をしていく上でクライミングという妙技を身に付ければ、登る山の選択肢はもっと増えるのだろう。




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