愛鷹逆走ルート (距離:15Km) 2012年7月31日


8:00 大棚の滝 駐車場
8:30 須津山荘
9:25 尾根
10:45 大岳
12:05 呼子岳
12:35 割石峠
12:45 蓬莱山
12:50 鋸岳
13:30 分岐
14:05 位牌岳

[ この登山の軌跡 ]

14:30 分岐
14:45 一服峠
15:00 袴腰岳
15:50 第一展望台
16:05 分岐
16:25 沢
16:40 沢山橋
16:45 須津山荘
17:10 大棚の滝 駐車場






 縦走をするきっかけとなった海抜0mからの富士登山を達成してから、登山熱がやや冷めていた。今後は北アルプスの縦走などもやる予定だが、その前に片付けたいルートが1つあった。それは1ヶ月前に訪れた愛鷹山で通過出来なかった鋸岳だ。

 新田次郎の小説にも描かれている鋸岳は、山が古く風化や崩落がある危険地帯で、過去に滑落死亡事故も発生してる立入自制区間。だが調べてみると、けっこうあっけなく通過できるとの情報だった。
 ただ、そこだけの為に山へ上がるのは物足りない。他にも何かないかと頭を巡らせると、以前訪れた時に呼子岳山頂で見た廃道の事を思い出した。

 調べてみると廃道になっていたのは大岳から呼子岳のルート。10年以上前から廃道になっているようだが通過は可能。ただ、藪漕ぎをしながら進み、最後は「呼子の壁」と呼ばれる急斜面を登る必要があった。

 過去に歩いた何人かのプランは、大棚の滝を発着点にし、大岳からこの廃道で呼子岳へ上がり、その後で鋸岳を通過して位牌岳、袴腰岳を周遊する縦走ルート。
 これならスリルある箇所を同時に2つ味わえるし、歩いてないルートを踏破する事も出来るのでやり甲斐がある。そう考えたらあとは実行するのみ。前回のリベンジの意味合いも含め、早速に出掛けることにした。

 大棚の滝へは公共バスでのアクセスが無理だったが、駐車場があるので今回は自家用車で向かうことに。
 滝までの道は落石防護柵設置工事の為、期間通行止めになっているようだが、迂回路で行く事が可能だったのでそちらで向かった。

 駐車場は大棚の滝を眺められる須津渓谷橋の両側にあったので、滝を見て左側の方へ停めた。橋の袂にある「林道間門東線」と記された案内板から遊歩道を上がり林道へ出て右へ。
 しばらく歩くと林道にぶつかるのでそこも右。また林道にぶつかった所を左に進むと須津山神社と須津山荘へ到着。山荘の中は確認しなかったが、無料で使用出来るようだ。

 この山荘の裏から大岳へと上がっていく。登山は2週間振りだが体は鈍ってない。だが、今日は日差しも強くかなり暑い。日頃から酒ばかり飲んでるので、尾根に出るまでにタオルが絞れるほど汗を掻いた。
 尾根に出るまでには倒木地帯がある。迂回する必要があるとの情報だったが、そういう場所はなかった。それに所々にスプレーやリボンの印があるので迷うこともない。

 尾根を上がりきると歩きやすくなり、下って上がると残り40分の標識が。ここから急勾配になり、ロープを使用したり熊笹を掻き分ける箇所が増える。
 大岳山頂は展望がほとんどなく、背の低い笹がびっしりと生えて狭い印象。この先は廃道へ進む以外はルートがないので、人が訪れることも少ないのだろう。

 ここからいよいよ今回のメインの1つである廃道へ。登山道は分かりにくいとの情報だったが、踏み跡は明瞭だった。ただ、背の高い熊笹を掻き分ける藪漕ぎの連続なので、足元が見えにくい。分からなくても尾根を基準に進めば問題はないと思う。

 2回目に景色が開けた先から急な下り。ここも草で足元が見えにくかったので、しっかり確かめながら進む。登山道は見えにくかったが景色はバッチリ。この辺りからは富士山と越前岳がよく眺められた。

 呼子岳の手前で足幅しかない稜線を何箇所か通過すると、その先は崩れて進めなくなった。ここは木の根を上手く使い、左側に下りて呼子直下に向かう。
 ここからが「呼子の壁」と呼ばれる垂直のような傾斜。難があるかと想像していたが、ロープもあって木の根もしっかりしていたので、足場を確保しながら進めば意外と安易だった。山頂まで距離もないので、直下から10分で登ることが出来た。

 呼子山頂で小休止した後、もう1つのメインである鋸岳へ突入。実際に来るまではかなり危険な場所を想像していたが、聞いていた情報通りあっけないものだった。
 足場がない場所をロープを使ってトラバースしたり、急斜面を登る箇所が何度かあったが、いずれもアスレチックのような気分。どちらかと言うと、呼子の壁の方がスリルがあったかもしれない。

 あっけないと言っても、私はいくらか縦走の経験を積んでいたので、それなりに自信も付いていた。それに、しっかりと情報も調べたし、実行には天気の良い日を選んだ。だから、ハイキングのような軽はずみな気分で鋸岳に入るのは止めた方がいいと思う。

 強風の時や雨で足場が濡れている時は、もちろん危険が伴うだろう。大岳から呼子の廃道もそうだが、どちらもこれから通過しようとする人は、それらを承知の上で行動した方がいいと思う。

 鋸岳を通過した先には、大沢へ至る分岐があった。この先で再びロープを使って足場の悪い箇所をトラバースし、その後に急斜面を上がってようやく位牌岳に到着。廃道、鋸岳とも無事に通過できたので達成感もひとしおだった。
 ここまで来れば終わったようなもの。後は危険箇所もないし下るだけ。おまけに位牌岳から袴腰岳までは展望が良い。途中の一服峠からは鋸岳と富士山の眺めが抜群だった。

 袴腰岳から岩や根が多い急勾配の下りで、緩やかになってからは熊笹の藪漕ぎ。その先の第一展望台からは大岳と富士山の眺めが良かった。
 この先の分岐を右に進んで大棚の滝へと向かう。ここからは剪定された森になりがらりと雰囲気が変わる。右方向に下っていたが、枯れた沢から左方向に下るようになった。

 下から聞こえてくる水の音の所が沢山橋。ここから林道を下ってすぐに須津山荘へ到着。そのまま来た道を歩いて大棚の滝の駐車場へと戻った。
 今回は車でなので下山後の至福のビールが味わえない。仕方ないので途中のコンビニでノンアルコール・ビールを買った。これには刺激がなかったが、今回の縦走は刺激があってかなり面白かった。




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