地球33番地 (高知) 2002年


 朝テントを叩かれる音がしたので目を覚ますと、公園には老人たちが集っていた。寝ぼけながら何ですかと聞くと、これから公園を使うから早く出て行けと言う。
 どうやら老人たちはゲートボールを始めるようだ。ゆっくり朝食を済ませたかったが、のんびり出来る雰囲気じゃなかったので、すぐにテントを片付けて出発した。

 27番神峰寺を訪れた後、次の寺への通り道だった安芸市内を観光。市内には安芸のシンボルという野良時計があった。
 これが建てられたのは今から110年ほど前。明治時代に時計に魅せられた一人の富農によって作られたもので、今も正確な時を刻み続けているという。

 町には寅さん地蔵というものもあった。寅さんとは日本の代表的娯楽映画である「男はつらいよ」の寅さんである。
 映画の主人公の渥美清が亡くなったため、シリーズの最終作となったこの地にこの銅像が設置されたらしい。他にも坂本龍馬館などもあったので、そこにも立ち寄った。

 安芸市から赤岡町までの海沿いには自転車専用道があった。車が来ない自転車道は走りやすく、サイクリングするには実に気持ちいい。
 自転車道の横はほとんど防波堤だったが、所々は海へ行けるようにスペースが開けられていた。その入り口の横には津波が来たときの為にか、入り口を塞ぐ木の板が何枚も置かれていた。

 その後、28番大日寺から31番竹林寺まで走り、今日は5つの寺を巡った。竹林寺がある高知市内には「地球33番地」と名付けられた場所があったので、一体何なのかと見に行ってみた。

 そこは高知市内を流れる江の口川沿いにあり、モニュメントが建っていた。説明文を読んで分かったのは、名前の理由はここが北緯33度33分33秒、東経133度33分33秒に位置するからだった。
 もっと違うものを想像していたので、これには少し拍子抜けした。しかも、実際の33番地はモニュメントの位置ではなく川の中だった。

 地球33番地を訪れた後、市内の銭湯で2日ぶりに風呂に浸り、高知港の近くの「わんぱーくこうち」という公園に移動してテントを広げた。
 ここにはゲートボールするスペースはないので、早朝に老人たちに起こされる番地ではなさそうだ。




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