バチカン(55国目)


 イタリアの首都ローマのテルミニ駅から20分、地下鉄で6駅進めばそこは世界最小国のバチカン。国土全体が世界遺産のバチカンは、ローマ教皇庁によって統治されるカトリック教会の総本山。

 ローマの郊外に位置するこの地は、昔は人の住む地域ではなく、一種の聖なる地と考えられていた。
 三千年前には「ネクロポリス」として、埋葬や共同墓地として使用されてきたが、コンスタンティヌス1世が聖ペトロの墓とされたこの地に最初の教会を建てたという。

 その後に住んだローマ司教が教皇としてカトリック教会に強い影響力を及ぼすようになり、バチカンはこの地を本拠地として発展していった。

 そんなバチカンは非世襲の首長公選制。教皇は男性のカトリック信者に限り、「コンクラーベ」という選挙によって選ばれる。
 教皇は教会全体のトップと、市国の元首という2つの側面を持つが、行政庁長官、国務長官、市国委員会などが、政治では最高責任者として存在するようだ。

 カトリック総本山だけに、国は一切の軍事力を保持してない。警察は永世中立国であるスイスの傭兵が務めている。
 面積は東京ディズニーシーと同じ位で、人口は僅か800人程。その全ての者が司祭や修道女などの聖職者。

 それ以外の者に国籍は与えられず、一般職はイタリアなどから通勤している。国籍を取得したい場合は、何らかの形で聖職者として従事する必要があるという。
 通貨はバチカンリラだったが現在はユーロ。物価は多分ローマと同じなので、日本とあまり変わらないだろう。

 バチカンは外国人観光客が入れる場所は、「サン・ピエトロ広場」「大聖堂」「バチカン美術館」の周辺のみと限られているので、それらを観光。

 さて、今回バチカン料理店を探したが、都内近郊で提供してる店はなかった。というのも、バチカン国民は他国から選出された者が2つの国籍を持って在職している。
 離職するとその国籍を失うので、母から子へと受け継がれるような料理はそもそも存在しない。

 敢えて挙げるなら、教皇が食べている料理、カトリックの宗教行事に出される料理、宿坊や教会宿舎で出される食事がそれに当たるだろうか。
 ちなみに調べたところ、千葉県船橋市にあるイタリアンレストラン「ラ・ ノッテビアンカ」は、元バチカン市国の皇帝料理人がシェフのようだ。



 

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