そして帰国へ (韓国から日本) 2009年9月8日〜9日


 釜山から博多行きのフェリーは、乗船日の前日に港で購入。カメリアというこのフェリーは釜山〜博多間を毎日運航しており、釜山出発は22時30分で博多到着は翌日の6時。
 22時30分発なのに、乗船手続きが開始されるのは19時からとやけに早い。中国の天津から乗ったフェリーでは、出発の30分前にチケットを買って乗り込んだというのに。

 とにかく19時にチェックインを済ませ、乗船口があるターミナルの2階へと行った。すると何ということだ、2階には別の船会社のカウンターがいくつかあるじゃないか。
 しかも、それはジェットフェリーという高速船で、博多までたったの3時間。おまけに、1日に10便ほど運航もしていた。

 3千円位しか変わらない料金でこの差は大きい。私がチケットを買ったのは1階のカウンター。まさかこんなオチが最後にあるとは思わなかった。

 乗り込んだフェリーの2等客室は雑魚寝の部屋。同室にいた日本人と韓国人のオッチャンと話が弾み出航前からジンロで盛り上がる。気が付いた時に船がひどく揺れていたので、その時が出港だったのかもしれない。

 酔い心地そのまま眠りに就き、起きた時には既に博多に停泊していた。6時到着といえ、税関が開くのが7時からなので、それまで船内で待機しなければならなかった。

 港から博多駅に向かうバスの中には、通勤するサラリーマンや学生などが乗り込んできた。ワンマンバスの運転手は停留所に到着する度に、忘れ物がないように、足元に気を付けてください、などのアナウンスをする。

 込み合ってきた車内の乗客も、降車する時に人垣を通るのに「すいません」と発している。日本では何の変哲もない日常風景だが、2ヶ月振りにそれを目にした私には、これがひどく可笑しなものに感じた。同時に日本に帰ってきたという実感もが沸いた。

 タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、中国、韓国と移動してきた今回の旅。日本に流れてきた人間や物、一部の文化や習慣などが、かの地から伝わってきたことが強く感じれた旅でもあった。

 どの地でもその国固有の暮らしぶりが伺えたが、特に印象に残っているは、中国雲南省などに暮らしている少数民族だ。
 未だ独自の文化や言葉を捨てず、昔から変わることない生活をする民族たち。いずれそれらの多くもなくなってしまう運命なのかもしれないが、それは寂しいことである。

 私は1日の滞在で移動を続けてきたので、全ては見ただけに過ぎない。ほんの少しの文化や習慣は実際に肌で感じたが、本当にその国や民族の事をを知ろうと思ったら、長く暮らさなければ分からないだろう。

 だが、見て知るだけでもその価値は大きい。そこでその存在が自分の中で身近になるのだから。広いアジアには、今だ知られてない民族もいるのだろう。いつかまたじっくりとどこかの地を旅してみたいものだ。


[ 前へ ]  [ 目次 ]  [ 次へ ]


Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved