長時間の移動 (中国から韓国) 2009年9月3日〜4日


 タイから北京までは陸路で移動してきたが、北朝鮮は通過出来ないので韓国へはフェリーでの移動。中国の天津から韓国の仁川までは24時間。運航してるのは、木曜日と日曜日の週2本だけとなっていた。

 私は木曜日の便に乗ろうと、上海あたりからスケジュールを調整してきた。フェリーが出航するのは天津からなので、前日の水曜日にはそこにいる計画だった。だが北京で気が付いたのだ。明日が木曜日であることに。

 そもそも私は曜日を一日間違えて計算していたのだ。その為、明日の便に乗るためには、北京からダイレクトに港まで行くしか方法はなかった。
 しかし、フェリー出発の11時まで間に合うかが問題。北京から天津港まではバスで約3時間。それに1時間の余裕を足すと4時間。天津行きのバスは始発が7時なのでまさにギリギリ。始発を逃せばアウトだし、途中で渋滞にハマッても間に合わなくなる。

 天津行きのバスが出発するのは北京の中心部ではなく、南にある趙公口長距離バスターミナル。ここがまたアクセスの悪い場所で、最寄の地下鉄駅から離れていた。なので、徒歩を含め全ての移動も考えると、朝5時半には宿をチェックアウトしなければならなかった。

 この移動が面倒になると分かっていたので、北京到着時に趙公口バスターミナル周辺で安宿を探したのだが、全て断られて泊まる事が出来なかったのだ。
 予定通りに移動がスムーズに運べば何も問題はない。その可能性を信じ、翌日に北京からソウルへの大移動を敢行することにした。万が一乗り過ごしてしまったら、天津で日曜日まで過ごすだけだ。

 翌朝、寝過ごす事なく早起きして、趙公口バスターミナルに6時半に到着。バスの行き先を調べると、天津行きだけでなく、都合のいい塘沽行きがあったのでこれを利用した。
 バスは時間通りに7時に北京を出発。渋滞もなく2時間程で塘沽に到着したが、そこは港ではなくバスターミナルだった。

 ここからの移動方法が分からない。さらにマーフィーの法則か、こういう時に限って下痢で、おまけに便意が催してくる。しかし、トイレに行って鼻歌を歌う悠長な時間など今の私にはない。

 トイレではなくバスターミナルの受付に駆けつけ、天津港までのアクセスを聞き出した。バスは反対車線の停留所から出ている102路。大通りを横断してると、ちょうど102路のバスが来た。だが私はマーフィーの法則中。当然バスには間に合わない。

 次のバスを待つ間に、さらなる便意が襲ってきた。バス停の後ろは草薮。真剣にそこで済ませようかと考えたが、フン闘中にバスが来たら困る。ここは耐え忍ぶしかない。
 次のバスに乗り込むと、やたらと走行が遅い。もはやフェリーなどどうでもいい。早く到着して便所に行かせてくれ。肛門を締め付けられる思いで耐えること30分。10時過ぎには天津港に到着し、どうにかフェリーにも便所にも間に合う事が出来た。

 両国を結ぶフェリーは天仁号。料金はエコノミーで948元に港使用料として30元。雑魚寝かと思っていたフェリーの客室は、二段ベッドでカーテンが付いていた。
 フェリーは韓国船のようで、船内はすでにハングル表記。客からも韓国語が聞こえる。船内では中国元も使用できたが、料金は韓国の物価なのでやたらに高く感じた。

 長時間移動する船内にはソファーでくつろげるスペースや、TVルーム、ゲームコーナー、バー、カラオケなども揃っていた。通路には乗客の洗濯物が干されてる。中国人は麻雀をやっていた。

 天津から28時間船に揺られ、韓国の仁川港に着いたのは翌日の15時。入国後、近くのスーパーの中にATMがあったので金を下ろそうとしたが出来ない。
 港には両替所があったのでそこで両替しようとすると、なぜか円は駄目だと断られた。幸い10ドル札があったので、それを両替してソウルへと向かった。

 バスで仁川東駅へ移動し、そこから電車でソウル市内の光化門を目指す。路線図の料金では1600ウォンと出てるのに、販売機では2100ウォンと表示される。
 なんだかよく分からないので、販売機でなく窓口で切符を購入。それを自動改札に入れると、なぜかブザーが鳴りゲートが遮断された。

 改札にはたすきを掛けたボランティアみたいなおばちゃんがいた。彼女が反対側からもう一度切符を入れろというので、やってみると切符が回収されてしまった。
 覚えたての単語で「切符はどこにいった。返してくれ」と訴え続けると、おばちゃんが駅員に説明をし、渋々に新しい切符をくれた。後日に知ったのが、切符にはデポジットが含まれていたので、料金が表記よりも高かったのだ。

 出発した電車の中には、包丁研ぎの実演販売が現れた。巧みな話術に釣られ、乗客の何人かがそれを買っていた。こういうのは、いかにもアジアらしい風景だ。
 電車は1時間で光化門に到着。まずは宿よりもATMだと改札を出ると、駅の中でそれを発見。なんて便利な場所に設置してあるんだ。

 無事に金も下ろせ、目的の宿にもチェックイン。ようやく長時間の移動が終わり一安心。疲れた体を癒すにはこれしかないと、まずはコンビニにジンロを買いに行った。




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