またしてもトラブル (愛知〜静岡) 2002年


 天気予報通り夜中に雨が降ったが、朝には止んでいた。海岸線の国道42号線を浜松方面へ向かう。この道は景色も良く、適度なアップダウンもある道だったので、気持ちいいサイクリングが出来た。

 浜名湖の手前から国道1号線に入る。途中に日本三大砂丘の一つという中田島砂丘があったので寄って行った。中田島砂丘は南北約0、6km、東西約4kmに渡って広がる砂丘。海亀の産卵地としても有名であるようだ。

 砂丘と言っても所々には枯れた木が点在している。人もまったくいなかったので、最果ての地のような淋しさが漂っていた。
 鳥取砂丘を見てきた私にとっては、中田島砂丘はそれ程の迫力はなかった。しかし、鳥取砂丘以外にも日本に大きな砂丘がある事を知ったのは、新たな発見だった。

 砂丘へと走って来る間に「パン」という破裂音を聞いた。何の音かと思いながらここまで走ってきたのだが、まさかあれは自分のタイヤの破裂音だったのではないか調べてみると、案の定タイヤがパンクしていた。
 昨日に続きこの旅で3度目のパンク。砂丘の入口にはレンタルサイクルを貸し出していたので空気入れを借りようと思ったが閉まっていた。

 近くの商店で空気入れを貸してくれと頼んだが、どこへ行ってもないと言われた。応急処置としてガソリンスタンドで、強引にエアーを入れてもらう。
 他に店を探しながら走り続けたが、次第に周辺は工業地帯や畑になりどこにも店はない。国道150号線に戻ってしばらく走ると酒屋があった。ここにも空気入れはなかったがエアーコンプレッサーならあるというので、また応急処置に空気を入れてもらった。

 酒屋に来た婆ちゃんから、4つ先の信号のところに自転車屋があると聞いた。そこは運悪く休みだったが、近くの米屋で空気入れを貸してもらえた。
 早速パンクを修理して空気を入れ直したが、全然空気が入らない。もう一度チューブを外して調べてみると、新たな穴を発見した。再度修理して空気を入れたが、また全然空気が入らない。またチューブを外して調べてみると、さらに新たな穴を2つも発見した。

 外側のチューブをよく見ると、小さいピンが刺さっていた。この状態のまま走っていたので、内側のチューブに何ヶ所も穴が開いてしまったようだ。
 穴は見つけたのだが、チューブに張るシールがなくなってしまったので直せない。米屋のおやじからこの先にホームセンターがあると聞いたので、自転車を押して行った。

 そこで修理セット買って空気入れを借り、店の前で再び修理に取り掛かった。今回は入念に内側のチューブを調べた。すると、何と2ヶ所どころか、10ヶ所も穴を発見。
 どうにか全ての穴を塞いで完璧に修理した後、150号線で御前崎を目指した。途中にはサイクリングロードがあったので、国道からそれてそちらを走った。

 サイクリングロードは海岸にあるので所々砂がひどく、タイヤを砂にとられる程だった。御前崎の灯台に着く頃は夕方で、海岸に沈む見事な夕陽を眺められた。
 御前崎を越えてしばらく走ったところに風力発電の巨大なプロペラあり、そこにマリンパークという公園があった。門が閉まっていたが簡単に乗り越えられたので中へ進入。芝生がある広い公園には水道もあり、寝床にはぴったりだった。

 一つだけ不満をあげるならば、頭上の風力発電機のプロペラが回転する音が、かなりうるさいこと。完璧に直したはずのタイヤの空気も、また抜けかかっていた。明日また修理しなければ。今日は最悪の一日だった。




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