山陰へ向かう (広島) 2002年


 小さな公園で目を覚ました後、もう一度尾道へ向かった。ここ何日か風呂に入ってないので、朝湯に浸かって汗を流したかったが、どこの銭湯も開店は夕方からだった。
 尾道はラーメンが有名らしく、何軒か行列が出来ていた人気店を昨日見ていた。せっかくだから食べていこうと思ったが、ラーメン屋の開店も11時から。店が開くまでは1時間半も待たなければならないので、どちらも諦めて出発することにした。

 次の目的地は鳥取県の鳥取砂丘に決めていたが、地図を見てると島根県の出雲大社が目に付いた。どうせなら出雲大社を見てから鳥取砂丘に行こう思い、まずは島根県に向かうことに決め、尾道から国道184号線を北上して行った。
 山陰地方と言われるこの辺りは山だらけ。目的地に行くまでには、山を3つは越えなければならないのは承知の上だった。

 途中で通過した甲山町では「問わず、聞かず、身元調査」「白い杖、黄色いかばんには注意」と書かれた看板を目にした。過去に何かあったのだろうか。こんな看板を見たのは初めてだった。
 それと、田舎や農家は嫁不足が問題なのか「外国人の嫁を紹介します」というような貼り紙もちらほら見かけた。

 世羅町は梨農園が多くあり、国道沿いには直売所もあったので、一つ食べようと寄ってみた。店のおばちゃんは私が自転車での旅をしていると知ると、試食の梨をたくさんくれたので、わざわざ買わないで梨を頂けた。

 そこから70km走って広島県の三次市に到着。ここ数日間で朝が冷え込むようになったので、トレーナーを購入しようと紳士服店に寄った。
 店員と世間話をすると、三次市は霧が有名で、早朝の山頂からは雲海が見れると聞いた。しかも、目指していた高谷山キャンプ場からも、それが見れるらしく好都合だった。

 そのご褒美を期待して、1時間チャリを押しながら坂を上ってキャンプ場に到着。大して広い場所じゃなかったが、使用は無料で水道やトイレも設備されていた。
 今朝は風呂にも入れなかったし、ここまで来るのに汗も掻いている。他には誰もいなかったので、鍋を桶代わりにして水道水を使って体を洗った。

 水浴びをしていると、車がやって来ておっさんが降りてきた。私がここでキャンプをする事を知ると、この辺りは蛇が出るので、山頂でキャンプした方が良い言う。
 少し山を登ってみると展望台があったので、こっちの方が都合がいいとその辺りにテントを張り、翌日の朝陽を待つことにした。




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