エキゾチック・バリ (クタ) 2007年4月19日〜23日


 かつては小さな漁村に過ぎなかったクタ・ビーチは、インド洋の豪快な波を求めてやって来たサーファーたちによって1960年頃から発展を遂げてきたという。
 通りは各国のレストランやショップで埋め尽くされ、完全なリゾート地。世界中から観光客が集まってくるクタは、エキゾチックな雰囲気が溢れていた。

 安宿街はガン・ポピーズTとガン・ポピーズUの辺りに集中していた。私はクタに深夜1時頃に到着。ブロモ山からの長い移動で疲れていたので、とりあえず空いていた宿にチェックインした。
 この宿は部屋が広いだけであまり居心地はよくなかったので、翌日周辺の宿を見てまわり、その中で気に入った宿にすぐ移った。

 移動したの宿は中庭にヒンドゥー教の石像があった「MAHENDRA」。働いている女がその石像にお供え物をして祈りをあげるのを見れた事も、ここに移ってきた理由の1つだ。料金は最初に泊まった宿と同じ4万ルピアだったが、こちらは朝食付きだった。

 宿からビーチまでは歩いて10分もかからない距離。ガン・ポピーズは、ちょうど車が1台走れるくらいの狭い路地だ。
 インドネシアではストリートのことをジャラン(通り)と言い、そのジャランよりも狭い道のことをガンと言うらしい。この狭い通りのエリアの中にホテルやレストラン、土産屋などが詰め込まれていた。

 クタ・ビーチはサーフ・ポイントとしても有名なだけに、世界各地から集まったサーファーが大勢いる。安宿も長期滞在は割安になるので、この地で長く滞在してサーフィンやマリン・スポーツなどを楽しむ者も多いのだろう。

 私はサーフィンはやらないので、ビーチに寝転がってのんびりしていた。だが土産売りやサーフボードをレンタルしないかという連中がひっきりなしにやって来て、とてもゆっくりする事が出来ない。日本語を話してくる地元の連中も大勢いた。かなりの日本人がこのクタ・ビーチを訪れてるのだろう。

 クタはリゾート地としては申し分ないのだが、私が求めているバリの文化に触れる機会がまるでない。たまたま手紙を出しに郵便局に行ったのだが、その辺のエリアだけはかろうじて地元の色が強かった。寺院が近くにあったためか、その周辺には花売りたちが大勢いた。

 クタにはレンタルのバイクや車などを借りられる店が多くある。周辺にはスミニャック、サヌール、ヌサドゥアといった他のリゾートもあるので、長期滞在者や観光客たちは車やバイクをレンタルして他のビーチにも行くのだろう。そのためこの周辺では、外人がバイクを乗り回している姿を当たり前のように目にする。

 私も何度かバイクをレンタルした。バイクは90ccくらいのギアが付いたスクーター。国際免許はなく無免許だったが、レンタルする事は可能だった。店の兄ちゃんは「もし警察に捕まったら2万ルピアくらい払え、そうすれば見逃して貰えるから」と言っていた。

 町には土産屋やレストランが余るくらいにある。多くの観光客が訪れるのだから、それで金を稼ごうとする商売が増えるのも当然だろう。しかし、地元の連中の顔には、曇った表情が浮かんでいるのを感じる時もあった。

 バリ島までのバスで一緒だった女が言っていたように、観光客が我が物顔でこの地をうろつき好き勝手に遊んでいるのは、やはり地元の人にとってはあまり喜ばしい事ではないのだろう。




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