佐渡太鼓体験交流館 (小木〜佐和田) 2010年5月15日


 東京の池袋から乗った深夜バスは、直江津のバスターミナルに朝5時に到着。そこから港まで歩き、7時のフェリーを待った。
 切符売り場の外で朝飯を食べてると、自転車を輪行する者やキャリアに乗せた車がちらほら現れた。この日は土曜日だったので、休日サイクリングを楽しむ者たちだろう。

 だが、それは数人では終わらず、同様の客が次から次へと現れてきた。島のサイクリング人気は相当なものだなと思ってると、いつのまにか切符売り場はチャリダーの姿で一杯に。その数が半端じゃない。人気など超えて異常なほどだ。

 これは何かあるに違いないと港の係員に聞いてみると、島では明日の日曜日に自転車の大会があるとのことだった。なるほどそれなら納得がいく。そうでなければ、これは自転車だけを持った民族大移動としか思えなかっただろう。

 大会はスポニチが開催する「佐渡ロングライド210」というもの。210はおそらく島一周の距離だろう。私の場合は自転車でなく210kmは歩き。そこで、今回の旅はこれにちなんで「佐渡ロングウォーク210」とすることにした。

 到着した佐渡島の小木港は島の南端部。無料の観光マップを見ると港の西側に観光名所が多くあった。そこで、まずは佐渡らしさを堪能したい思い、西へ進んで時計回りに島を一周することにした。
 歩き出すと港のすぐ横にたらい舟を発見。どうやら佐渡名物の一つのようで、観光客がたらいに乗って湾内を回っていた。漕ぎ手の女性の衣装が絵になる。

 たらい舟は主に女性が操り、ワカメやアワビ、サザエなどの漁に今でも使われているという。観光客は乗るだけでなく、舟の操縦も出来るようだ。湾内をを上手く操れると、たらい舟操縦士の免状が貰えるという。

 今回の旅はフェリーの発着時間を調べただけで、他には一切情報を入れてない。その方が旅の面白さが倍増するからだ。佐渡について知ってることはトキと金山、それと和太鼓軍団の鼓童だけ。その3つだって実はよく知らない。

 港から県道45号線の佐渡一周線をしばらく歩くと、周辺はすぐにのどかな田園風景に。あれだけ大勢いたチャリダーの姿もまったく見かけない。明日の大会のスタート地点は反対方向にあるのだろうか。ならバッティングしなくて済むのだが。

 天気も良く快適なウォーキング日和。本州方向の海の景色がこれまた良かった。雪化粧をした山脈の山頂部分だけが、海と空の間に浮いているように見えたのだ。こういう景色は今まで見たことがない。

 進んでいく先には佐渡太鼓体験交流館がある。ひょっとしたら和太鼓軍団の鼓童と何か関係があるかもしれない。とりあえずそこへ行ってみようと、途中で赤い橋が架かった名勝「矢島・経島」や、古い家屋が並ぶ宿根木の集落を観光して向かった。

 交流館に近づくと「鼓童村」という看板を発見。しかも、建物の方からは太鼓の音が聞こえてきた。ここが鼓童村となると、これはメンバーが練習してる太鼓の音に違いない。
 その風景を見れるだろうと交流館に入ると、なんとそこで練習してたのは近所のおばさんたちだった。

 館内を案内してくれた受付の可愛い姉ちゃんによると、メンバーが練習するのは別の場所だという。それと、鼓童村は鼓童の活動拠点だが、一年の大半は国内や海外の遠征でいないとも言っていた。

 この姉ちゃんやもう一人いた兄さんがいい人で、私の余計な質問にも親切な対応をしてくれた。それで知れたのは、今夜の寝床に予定している素浜海岸までとその周辺は、酒屋が一軒もないということ。食料は用意してあるので問題ないが、長い夜を過ごすのには酒がどうしても必要だ。

 私がどうしようかと困った顔をしていると、なんと兄さんは「これで気分だけでも味わっては」と、自分用に冷蔵庫に入れていたノンアルコール・ビールを2本も差し出してきた。この親切心に酔わせてもらおうと、ありがたくそれを頂戴した。

 太鼓体験交流館ではもちろん太鼓を叩く体験もできる。私は本物の太鼓を叩くことはなかったが、姉ちゃんは可愛い容姿で私の鼓動を早くし、兄さんは粋なもてなしで胸を打ってくるという、違う形の太鼓体験交流はすることが出来た。

[この日の写真]




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