神奈川・東京編1 2016年5月2日


 愛車のカワサキ250TRにまたがり、まずはスタート地点に選んだ神奈川県座間市にある第8番星谷寺にやって来た。
 ちなみに250TRはノーマルだと、タンク容量は7Lしかない。そこで中古で買った時にすぐ、倍の14L入るエストレア用のタンクに乗せ換えた。満タンにすれば走行300kmはいけるので、長距離のツーリングでも心配ない。

 話はそれたが、坂東三十三観音の寺には山号と寺名に祭っている観音の名前があり、星谷寺の場合は、妙法山星谷寺(星の谷観音)となる。
 山号とは寺名に冠する称号で、寺が山に建てられた時代に所在を示す意味で付けられたもの。山号の起こりは中国で、仏教発祥の地インドにはないらしい。鎌倉時代以後は平地の寺院にも山号が付けられ、別称として一般化したようだ。

 仁王像が立つ入口から本堂へ向かい、まずは旅の安全を祈願する。境内には弘法大師の像の他、ご利益を授かれるさわり大黒、アニメキャラのような和み地蔵もいた。
 寺の建立は奈良時代で歴史があり七不思議などもあるようだが、細かい事はどうでもいいい。とにかくこのスタート地点から、4日間で三十三ヵ所の寺を回るのがこの旅の目的。なので長居はせず先を急ぐ。

 座間市から厚木市へ移動し、飯山温泉近くの第6番長谷寺を打つ。この「打つ」というのは、四国八十八ヵ所などでお遍路が使う用語。
 昔は木の薄板で出来たお札を寺に納め、それを本堂などに打ちつけていたことから、お参りすることを「打つ」とか「打った」というのだ。

 3つ目になる平塚市の第7番光明寺に向かう途中、伊勢原市の県道で朝早くから行列の出来る卵の直売所があった。後に調べたところそこでは「寿雀卵」という、1日に約25000個も売れる卵を売る店だった。
 神奈川は地元だがこれは知らなかった。こういうのも旅ならではの発見。卵かけごはんはよく朝飯に食うので、一度この卵を買ってその味を堪能してみたい。

 平塚市で3つ目を打ち、小田原市に移動して第5番勝福寺で4つ目を打つ。ここの駐車場で、同様にバイクで三十三ヶ所を回ってる人に会った。
 同じような事をしているが私と違っていたのは、この人は週末を利用し、何度かに分割して日帰りで巡っていたこと。

 私の場合こういうのは間をあけず、一気にやってこそ意味があると考える。それに今回のデッドラインは4日間なので、計画通りに走らなければ全ては打てない。
 ゴールデン・ウィークなのでどこも混んでそうだが、路肩を走れるバイクには無関係。渋滞知らずで次の観音の元へと向かう。

 海岸線の国道134号で江の島を横目に走り、古都鎌倉にある第4番長谷寺で5つ目を打つ。人気の観光地なので外人も含めた観光客が多かったが、ここを坂東三十三ヶ所の一つとして訪れている者はおそらく少数だろう。

 鎌倉市内には三十三ヶ所のうち3つの寺があるので、すぐに次の第3番田代寺へ移動。ここはツツジの寺としても有名で、正式名は北条政子の法名の安養院。
 彼女の名は歴史の勉強で聞き覚えがあるが、何者かはすっかり忘れてる。調べてみると源頼朝の妻で、頼朝の死後は尼となり、実家北条氏と幕政を左右した尼将軍。

 政子と聞くと、昭和の頃によくテレビに出ていた大屋政子を思い出す。甲高い声で「うちのお父ちゃん」と実業家の旦那の話し、よく分からない人物だった。
 もし、北条政子が同じように「お父ちゃん」の話をして頼朝の事を語っていたら、大屋には匹敵できないエピソードが聞けただろう。

[この日の写真]




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