愛鷹山登山 (距離:32.7Km) 2012年6月23日〜24日


1日目
9:50 原駅
10:30 八幡神社
11:15 東海大学
12:10 登山口
12:30 林道
13:45 林道(迷って戻る)
14:10 林道2
15:30 頂上手前の空き地

[ この登山の軌跡 ]

2日目
6:05 頂上手前の空き地
6:15 愛鷹山
7:25 林道2
8:00 分岐
8:55 愛鷹山ゲート
9:35 秋山製茶(車で移動)
9:40 船津バス停
10:35 東田子の浦駅




1日目 原駅〜頂上手前の空き地 (所要:5時間半 距離:15.5Km)

 今回の縦走は静岡県御殿場の南にある、愛鷹山、位牌岳、呼子岳、越前岳、黒岳を巡る縦走が計画だったが、天候不良の為に愛鷹山登山だけになってしまった。
 だが、標高1188mの愛鷹山へは海抜40m位から登ったので、正に山へ登ったという達成感が十分にあった。

 そのスタート地点にしたのは東海道線の原駅。駅からバスを利用して東海大学まで行けば、登山口に近い位置までアクセス出来たが、土日祝はバスの便数が少ない。
 その時間に合わせて自宅を出発するのも面倒だし、移動時間の都合も悪かったので、バスは使わずに駅から歩いて登ることにした。

 まず目指した八幡神社まではフラットな道で、目前には愛鷹山がそびえていた。麓から見上げると、標高1000m位の山でもかなり大きく感じる。あの上まで登らなければならないと考えると、荷物だけでなく気も重くなった。
 八幡神社から登りが始まり周辺は茶畑の景色に。振り返ると駿河湾が見渡せて気持ちいい。だが、山頂にはやや黒い雲が立ち込め、雨が振りそうな気配だった。

 東海大学の先から砂利の林道になり、1時間程歩いてようやく登山口に到着。ここから次第に勾配がキツくなる。数日前に通過した台風4号の影響だろう。登山道は落ち葉や折れた枝で埋め尽くされ、木が倒れてる箇所も結構あった。
 地面もぬかるんだままなのでで滑りやすい。注意しながら急勾配を30分ほど登ると林道に出た。その林道を右に進んだのだが、これが間違いだった。

 30分程歩いたが登山口が見当たらない。林道にも勾配がほとんどないし、北へ進まなければならないのに、東へ進んでいる。これはおかしいと林道に出た地点まで戻ると、倒れてる案内板に気付いた。
 そのまま直進しなければならなかったのを、道を間違えた為に1時間のロス。おそらく、案内板も台風4号に倒されたのだろう。

 さらに30分登ると再び林道に。今度は案内板はなかったが木の階段があったので、見落とすことも間違えることもなかった。
 そこから登るにつれて周囲は雲に覆われ白くなり、草木にも雨露が付くようになった。降水確率は10%だったが、間違いなく雨が降りそうな気配。景色が開けた箇所まで来ると、予想通りに雨が降り始めた。

 タイミングよくこの場所には平地があったので、急いでテントを張って雨から逃れた。しばらく様子をみたが、強い雨は弱まったが止む気配はない。
 本来の計画では今日は位牌岳まで登る予定だったが、そこまではまだ3時間はかかりそう。時間は既に15時半だし、雨の中を歩くのも嫌なので、今日はこのまま休むことにした。

 今回は水場がなかったので持参したのは、ペットボトル2本と水筒を合わせた4,5リットル。1泊2日の縦走なら水場がなくてもこれで足りる。
 移動中はスポーツ飲料の粉末を水筒に入れて溶かしたものを飲み、昼飯にはパン、カロリーメイト、黒糖やドライトマトなどを2時間置き位に食べる。

 夜は大好きな酒が欠かせないので、200mlのワンカップボトルに入れた焼酎を3本持参する。これを水割りにして飲むので、ここで貴重な水の消費が出る。
 夜飯には温めるご飯やラーメン、パスタなどを食べていたが、いずれも水を使うので、これを止めてその水を焼酎分に回すことにした。

 代わりに選んだ夜飯は水を使わずに済むもので、メインは冷凍にしておいた生肉を、塩コショウしてその場で焼いて食べる。あとはキムチ、竹輪などの練り物系、ピーナッツといったものを摘みながら、至福の一杯を兼ねる。

 朝飯は棒状のインスタントラーメン。これはスライス餅を入れて力ラーメンにも出来るし、余ったキムチを入れることも出来る。水分を補給して出発が出来るので、その後しばらくの水の消費が減るのにも都合がいい。

 何を食うかはともかく、一番重要なのは水だろう。心配なら多く持ってくればいいが、それだけ荷の重さが増すのが難点だ。
 後になって気付いたが、コッヘルを外に置いとけば、降っていた雨で水の確保が可能だった。これからは雨が降った場合は、これを有効利用しない手はない。


2日目 頂上手前の空き地〜東田子の浦駅 (所要:4時間半 距離:17.2Km)

 朝5時に目覚めると雨は止んでいた。昨日は雲に覆われて周囲は何も見えなかったが、テントの外に出ると開けた場所にくっきりと富士山の姿が。頂上部の雪は1週間前に金時山から見た時よりはるかに少なくなっていた。

 私の携帯電話には標高が分かる機能がある。それで調べるとここは標高1120mで、頂上はもうすぐ目の前だった。
 ここから計画通りに位牌岳、呼子岳、越前岳、黒岳と縦走するのは約6時間。水は残り1,5リットルあるので足りるだろう。

 だが、そもそもぬかるんでいた地面が、昨晩の雨によりさらに悪くなっている。しかも、朝飯を食っている間に富士山は見えなくなり、周囲はまた雲に覆われて怪しい天気になってきた。

 とにかく頂上はすぐなので荷物をまとめて出発し、ひとまず愛鷹山頂上に立った。ここから位牌岳まではさらに登る必要があり、やや危険な鎖場もあるとの情報だった。
 位牌岳の山頂部は雲に覆われてまったく見えない。また雨が降りそうな気配も漂ってる。テントを張った場所からここに来る間でも、かなり地面はぬかるんでいた。この先も地面が滑りやすくなってるのは間違いない。

 先へ進むのは止めて、来た道を1時間下山すれば林道に出る。そのまま林道で下山すれば、その後の急斜面は回避出来るので危険は少なくなる。
 頂上で15分考えた末、結局来た道を下山する事を選んだ。先へ進むのはリスクが多すぎるし、どこに危険があるか分からない。滑って尻餅するくらいならいいが、崖などで滑り落ちたら怪我する可能性が大いにある。

 その危険へ進むのも冒険かもしれないが、今それをしたところ何の得もない。空はどんよりしてる上に道は歩きづらいので、楽しいことは何一つない。
 そんな風に考えて先へ進みたい気持ちを押さえ、下山という決断に至った。別に山は逃げも隠れもしない。天気の良い日にまた来ればいいだけのことである。

 頂上からは何度も足を滑らせて転びながら、1時間下って林道に出た。ここから林道を歩けば転ぶ可能性はほどんどないが、林道がどこに繋がるのかが分からない。コンパスで調べる限り西の方へ進んでいくが、山を下って行くには違いない。

 とにかくしばらく進むと分岐があり「大沢林道」と記すプレートがあった。右は登りのようだったので、そこを左に進んで30分程歩く。再び分岐になった場所に、国有林を示した地図があり現在地が分かった。

 東へ進んでも西へ進んでも山を下りれるようだったが、西へ進んだ方が若干距離がない。東へ進むと、昨日最初に林道に出た場所に出ると思われた。そこから登山道を下れば30分で東海大近くの登山口に降りれるが、ここはかなりの急斜面だったので滑る可能性は120%。

 時間はかかっても安全な方がいいと、分岐から西へ進むことに。1時間程歩くと愛鷹山国有林を記したゲートに出た。そこから5分進むと茶畑が一気に広がる。
 標高を調べると400m。まだ半分しか降りてきてない。茶畑を見ながらそのまま歩いていると、後ろから軽トラックが走ってきたので、情報を聞こうと手を上げて引き止めた。

 軽トラには茶畑で働くおじさんが2人乗っており、この先にバス停がある事を教えてくれた。山に登っていた事を話すと、荷台に乗せてやるとの誘い。ありがたく受け入れ、茶葉をカットする大きな刃がある荷台に乗り込んだ。このおかげて歩かなければならなかった1時間を短縮出来た。

 降ろしてもらった場所からは、5分程で船津というバス停に到着。しかし、バスは10分前に発っており1時間待ち。軽トラのおじさんから、東田子の浦駅まで歩いて1時間で行けると聞いていたので、駅まで歩くことにした。

 バス停近くの民家にいたおばちゃん2人に駅までの道を尋ねると、話が盛り上ってバナナやチョコレートのもてなしを受けた。おまけに、おばちゃんの旦那は若い頃に山を登りまくっていた人で、愛鷹山は庭のようで、富士山にも30回は登った事があると話していた。

 そこから40分程歩いて東田子の浦駅に到着。頂上から4時間で下山して今回の登山は終了。山ではほとんど人と接する事がないので、珍しく地元の人たちと交流出来たのは、頂上で下山を選んだ事がもたらしたものだろう。

 今思えば、初日に道に迷ったのも運が良かったかもしれない。あそこで迷わずスムーズに進んでいたら、愛鷹山と位牌岳の間で雨に降られていた。そうなっていたら、その後の展開はどうなっていたか分からない。
 今回縦走は出来なかったが、色々な面で初めての事を経験し、今後の山登りに役立つ知恵を身につける事が出来た。愛鷹連峰縦走は、また日を改めて挑むことにしよう。




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