雲取山・笹尾根縦走 (距離:47Km) 2012年6月4日〜6日


1日目
10:25 三峯神社バス停
11:25 炭窯跡
11:50 地蔵峠
12:00 霧藻ヶ峰
13:15 前白岩の肩
13:40 前白岩
14:00 白岩小屋
14:30 白岩山
15:20 大ダワ
15:45 雲取山荘

2日目
5:30 雲取山荘
6:00 雲取山
6:50 奥多摩小屋
7:40 七ッ石小屋分岐
8:25 標高1150m
9:05 まき道合流

[ この登山の軌跡 ]

9:25 鴨沢バス停
9:40 小河内神社前(バス)
10:30 三頭山登山口
11:45 イヨ山
13:05 ヌカザス山
13:50 入小沢ノ峰
14:50 三頭山
15:15 三頭山避難小屋

3日目
6:00 三頭山避難小屋
7:15 槇寄山
7:45 数馬峠
9:40 土俵岳
10:00 日原峠
10:35 浅間峠
11:40 熊倉山
12:15 三国山
12:50 連行山
14:15 和田峠
15:20 陣場高原下バス停


1日目 三峯神社バス停〜雲取山荘 (所要:5時間半 距離:10Km)

 神奈川県の丹沢を縦走して、その味を初めて覚えた。まだ経験は少ないが、1ヶ月後にあるプランを抱えている。そこで、体をどんどん慣らしていこうと、次なるルートをすぐに模索した。
 今回選んだのは東京最高峰の雲取山。この山を縦走するだけなら1泊2日の日程で行けるが、今回は2泊3日にして距離を伸ばし、体力も付けることに。

 続けて歩けるルートがないか調べると、奥多摩湖の南にある三頭山から笹尾根というルートがあるのを発見。ここを進めば高尾山まで行くことが可能なので、これは面白そうだと、2つを繋げて歩くことにした。

 雲取山は北側の奥秩父にある三峯口からスタートし、山頂から南側の奥多摩湖の鴨沢へ下山。三頭山へはそのまま大寺山経て行くことも可能だが、奥多摩湖の麦山浮橋を渡りたかったので、鴨沢から浮橋へはバスで移動。
 そこから三頭山に登って笹尾根を縦走し、陣馬山もしくは高尾山まで歩くというルートに決定した。

 スタート地点の三峯神社へは、西武秩父駅からのバス。その始発の9時10分に乗る為に、神奈川の自宅を5時半に出発。電車とバスを乗り継いで、三峯神社に到着したのは10時半。登山口へ行くまでも一苦労だ。

 初日は雲取山の頂上手前にある雲取山荘まで歩き、そこのキャンプサイトを利用してテント泊。今回は4日分の食料とキャンプ道具を詰め込んでるので、バッグパックは前回の丹沢よりも若干重く20kg。
 軽装なら楽勝の山道だが、重荷を抱えた身はやはり辛い。ただ、丹沢にあったような木道がないので、歩き易いのだけが幸いだ。

 休憩中に会った熟練登山者の話では、奥多摩にヒルはいないとのこと。媒介する鹿は雲取山にはいないと思ったが、途中で4匹目撃した。その内の1匹は人に慣れてるのか、ベンチにで休む私の真横を、餌が欲しそうな顔をして2回も横切っていった。

 白岩小屋は廃屋になっていたが、泊まることは可能だった。中はかなりおんぼろだったが、近くには水場があるので利用価値はある。ヒルの事を教えてくれた登山者は、その小屋に泊まると話していた。

 白岩山からはゆるやかな登りになり、2時間程で雲取山荘に到着。テントに泊まる者は数人だったが、山荘には宿泊客がそこそこいた。雲取山は東京最高峰なので人気があるのだろう。テントサイトの料金は300円。便所も水場もある事を考えれば安いものだ。

 標高2000m付近なので、薄着で外にいると肌寒い。体も疲れてるのでテントで横になり、酒と飯を済ませて19時頃には眠った。
 夜中に小便で起きて再び眠ろうとすると、鹿の叫び声が断的に4回程聞こえた。音色からは悲痛な叫びに感じた。熊にでも襲われていたのだろうか。


2日目 雲取山荘〜三頭山避難小屋 (所要:5時間半 距離:17Km)

 今日の予定は2パターン考えていた。雲取山を下山して、麦山浮橋近くにある「山のふるさと村」でキャンプするか、三頭山の避難小屋まで一気に登ってしまうかだ。

 のんびり行くならふるさと村でキャンプだが、利用出来るのが15時からと遅い。テント泊をすると日の出には目覚めるので、雲取山を早く出ようが遅く出ようが、時間にかなりのロスが生まれる。どちらにしても待つのは嫌なので、体力的には辛くなるが、一気に三頭山の避難小屋まで行く事を選んだ。

 雲取山を下山した鴨沢から、三頭山の入口になる麦山浮橋までは2km位。歩いても行ける距離だが体力の消耗を減らそうと、ここはバスで移動にすることにしていた。
 そのバスで都合の良い便は9時32分発で、それを逃すと次は11時32分。雲取山から鴨沢までは4時間なので、9時の便に乗るには5時半スタートがデッドライン。

 テントで目覚めたのが4時半だったので、急いで支度して5時半に出発した。もし間に合わなければ浮橋まで歩けばいい。
 雲取山頂上からは富士山だけでなく、南アルプスも見ることが出来た。こういう景色を眺めると、ここまで登ってきた労力が報われる。

 山頂から下った奥多摩小屋の先にはヘリポートがあり、付近にいくつかテントが張ってあった。近くに水場もあったので、ここもキャンプ・ポイントなのだろう。奥多摩小屋は無人っぽかったので、キャンプ場は無料なのかもしれない。

 七ッ石への分岐まで来ると、鴨沢バス停まで110分と記されていた。時計を見ると7時40分。9時32分のバスにまさにギリギリだ。ここからはまき道へ進み、ペースを上げて下っていく。
 9時過ぎにアスファルトの林道に出たが、バス停はまだ先。鴨沢への近道を早足で下って、バス停に到着したのは9時25分。どうにか間に合った。

 バス停で時刻表を見ると、何と次の便は10時32分。調べていた11時32分の便がなかった。10時の便があるのを知っていたら、出発もペースも遅らせる事が出来たのに。
 とにかくバスに乗り、通称「ドラム缶橋」と呼ばれる麦山浮橋まで移動。橋の入口には旅館があったので、そこの主人に三頭山の情報を聞いた。

 三頭山避難小屋までは4時間。旅館の入口には自動販売機があったので水分を買おうとしたが、水場は浮橋を渡った先にあるというので、そこで水を汲んでいくことにした。
 主人の話では最近この周辺の山に熊が出たらしく、騒ぎになってるとの事だった。幸い私が進んでいく方向ではなかったので安心した。

 熊の心配はなかったが、代わりに三頭山までの登りに驚かされた。これが直線的な急勾配で、ハンパじゃなく辛い。おまけに蒸し暑かったのでかなり汗を掻き、頂上に着くまでに下で汲んだ2リッターの水を飲み干した。

 休み休み登ったので三頭山頂上までは5時間。途中ですれ違った下山者の話では、こちらから登る者はほとんどいないとのこと。反対側からなら、都民の森からすぐ登れると言っていた。

 寝床に利用した三頭山避難小屋は、かなり綺麗だった。水場を記す看板はなかったが、調べていた通り、小屋の裏を下った所にあった。もしここが枯れていたら、残りの水は500ccもなかったので、宿泊は諦めて都民の森まで下るしかなかった。
 小屋にはもう1人登山者が泊まり来たので、酒を飲みながらアウトドア話で盛り上がり、急勾配を登ってきた疲れを忘れる事が出来た。


3日目 三頭山避難小屋〜陣場高原下バス停 (所要:9時間半 距離:20Km)

 早朝に目覚めると天気予報通りに雨。今日使う水を汲みに行く必要があったが、もう1人の登山者が出発する前に2リッター分の水を分けてくれた。もし、雨の中で急勾配を下って水を汲みに行ってたら、間違いなく滑って転ぶ羽目になっただろう。

 持っている合羽はコンビにで売ってるような簡易なもの。今日は陣馬山まで6時間は歩かなければならない。風も強くて寒いので、濡れると体温も下がるだろう。
 仕方ないと出発しようとした時に、小屋の入口に傘があるのを発見。これは使えると1本拝借し、傘を差しながら歩いていった。

 三頭山避難小屋から笛吹峠までは、勾配がほとんどなくまるでハイキング。傘を差しながらでも歩き安かった。雨だったせいか、所々では大きな蛙を何匹も見掛けた。休憩に立ち止まると風が強いので寒い。手に入れた傘が雨だけでなく、風避けにも役立った。

 笛吹峠からは、少し登って急斜面を下ってしばらく歩く、といった繰り返しが続く。陣馬山までは6時間と調べていたが、中間地点の浅間峠で既に4時間半が経過。
 予想だとまだ4,5時間は歩かなければならないが、残ってる水は500cc。手前の日原峠で「飲料水5分」の看板を見掛けた時、汲みに行っとくべきだった。

 浅間峠から陣馬山は「関東ふれあいの道」になっていた。この自然歩道は最近知ったばかり。関東地方の一都六県を一周する総延長約1800kmの自然歩道なのだが、その一部がここにあったとは知らなかった。
 雨は止んだが水は500ccだけなので、節約しながら歩いていく。傘は杖代わりにも役立ったが、ぬかるんだ斜面で何度もコケた。

 東京、神奈川、山梨に跨る三国山から醍醐丸までは急降下。ここを反対に登るのはキツイだろう。醍醐丸の手前からはまき道を利用して登り道は回避。浅間峠から約4時間、和田峠まで500ccの水でどうにか足りた。

 和田峠には茶屋があったが閉まっていた。沢水を汲める場所が2ヶ所あったので、この辺りでキャンプして翌日高尾山まで行くことも出来たが、いい加減疲れたので、ここで縦走は終了することに。

 和田峠から陣馬高原下バス停までは約4km。アスファルト上の最後の1時間の下りは、山を歩くよりも辛かった。途中の景色が広がる場所からは、都心のビル郡が見られ、東京スカイツリーも小さく見えた。

 今回の縦走は2泊3日。雲取山の白岩小屋を利用出来る事を知っていれば、テントを持ってくる必要もなかった。まあ、重い荷物を背負いながら3日も歩いたので、次回の縦走の体力や自信はたぷり付けることが出来た。




Copyright (C) 2019 諸行無常 All Rights Reserved