アルバニア(61国目) 2019年3月17日


 モンテネグロのポトゴリツァからアルバニアの首都ティラーナまではバスで6時間半。現在は共和制国家のアルバニアだが、かなりユニークな歴史を持つ。

 かつてはトルコ、イタリア、ドイツなどに占領されていたが、第二次大戦後はソ連軍による全土解放が行われ、共産党を中心とした社会主義臨時政府が設立。
 その後に王政を廃止してアルバニア人民共和国設立を宣言。そして独裁者エンヴェル・ホッジャを首班とする共産主義政権が成立。

 彼はソ連の主導者スターリンを賞賛していたが、当時の隣国ユーゴスラビアがソ連とは違う道を進んだため、ユーゴと国交を断絶。
 さらにスターリンの後継者である、フルシチョフがスターリンを批判したのでソ連とも国交断絶。その後に同じ共産主義の中国に接近したが、当時の米大統領ニクソンが中国と肩を組み始めたので、中国とも国交を断絶。

 そしてどこの国とも関係を持たず鎖国状態に。中国と近づいてる頃に起きた文化大革命は、資本家を排除し宗教を否定する完全な共産主義。それに独裁者ホッジャは触発。
 過去にオスマン帝国に制服されていたので国内にはイスラム教が多かったが、これをねじ伏せてなんと無神国家を宣言。

 話はまだここでは終わらない。1992年に共産党から民主党へ政権が移行し、ようやく鎖国が解除して外国から色々なものが入ってくる。
 ここで入ってきたのがネズミ講の会社。鎖国していたアルバニア国民は金融に関する知識が一切なかったので、国民の半数がネズミ講に加入してしまう。

 このビジネスは紹介で成り立つものなので、新規参入者がいなくなった時点で破綻するシステム。そのため、国民の半数は財産を失い、国家自体も破綻するという結末に。

 ネズミ講投資会社も、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の終結と共に破綻。アルバニアはその後に経済回復を続け、2000年にWTO(世界貿易機関)に加盟。現在は税制改革や外資を呼び込む誘致活動を行っている。

 そんなアルバニアは無神国家だったが、現在はヨーロッパ唯一のイスラム国家で国民の7割がムスリム。通貨はレクで、物価はヨーロッパ最貧国なのでかなり安い。

 首都ティラーナでは中心にある「スカンデルベク広場」、町が一望できる「時計塔」、内部のフレスコ画が鮮やかなモスク「ジャミーア・エトヘム・ベウト」、
 独裁者ホッジャの記念館だった「ティラナのピラミッド」、壁面の巨大な絵が目を引く「国立歴史博物館」などを観光しよう。

 ティラーナからはべラトへとバスで2時間半の移動。ここは「千の窓の町」と呼ばれる世界遺産の古都。ここにはオレンジ色の屋根に白い壁の同じ形の建物が丘一帯に立ち並んでいて、独特の景観を作り出している。

 べラトからはもう一つの世界遺産のジロカストラへバスで3時間。「石の町」と呼ばれるこの地では、街を見下ろす丘の上の堅牢な「ジロカストラ城」、「バザール」と呼ばれる古い商店街などを観光、と妄想はここまで。

 さて、今回実際に訪れたのは、東京都渋谷区渋谷にあるトルコ料理店「ケバブカフェ」。アルバニア料理はギリシャ、イタリア、トルコに影響を受けたもの多い。
 肉や魚料理にオレガノ、ミント、バジル、ローズマリーなどのハーブ、それにチリパウダー、ニンニクを使うのが特徴。

 代表的なものは、クレープのような「フリ」、羊肉とヨーグルトのオーブン焼き「タブコシ」、野菜のパイ「ブレク」など。
 これらを提供する店は東京近郊になかったので、替わりによく食べられているトルコ伝来の「キョフテ」を求めてケバブカフェを訪れた。

 キョフテは牛や羊肉を挽いたものに、スパイスや野菜を加え団子状にして揚げたもの。日本で言えばミートボールに近い。
 ケバブカフェのは平たいもので、スパイスの効いたミニハンバーグといった感じ。米と食べてもパンに挟んでも美味しく、手軽に食べれる一品だった。

[この日の写真]



 

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