のどかなサイクリング (テガララン) 2007年4月23日〜27日


 ウブドで自転車を2万ルピアでレンタルし、近郊の村にある遺跡巡りへとサイクリングに出た。まずはウブドから約5kmにあるゴア・ガジャとイエ・プルという遺跡に訪れた。
 ゴア・ガジャは11世紀頃の古代遺跡。入口に巨大な顔のレリーフが彫られた洞窟は、1923年になって発見されたものだという。

 ゴア・ガジャは象の洞窟という意味。オランダの調査隊が半壊していたランダの石彫を見て象の彫刻と間違えたのが、そのまま名前となってしまったらしい。
 洞窟内はさほど広くなく、内部に2つの部屋があった。片方には像の顔をしたガネーシャ神、もう1つには3体のリンガ(男根を表したもの)があった。

 洞窟の他にも6人の女神像が彫られた沐浴場もあり、訪れる観光客がそこで手を清めたりしていた。この沐浴場は1954年になって発見されたという。

 次に訪れたイエ・プルは田園の中にある壮厳なレリーフで、25m程の長さの岩肌に様々な絵が彫られているもの。イエ・プルには観光客は誰1人いなく、遺跡を掃除する婆さんだけがいた。

 私に気付いた婆さんは、こっちへ来いと、岩に削られた1つの彫像の前に手招きした。そこで、花を耳に付けられて祈らされると、最後に寄付を要求された。
 持っていた小銭を全部差し出すと、それじゃ少ないから札を出せと言ってくる。小銭だって寄付だろと説明しても納得せず、婆さんは何やらぶつくさと文句を言い続けていた。

 ここからタンパシリンまでのサイクリングが予想外だった。田園風景の中をのんびり走れるものとばかり想像していたのだが、目的地まではひたすら続く登り坂。おまけに炎天下で汗だくになった。

 この辺りもそうだったが、地元の人たちは本当に素朴で気さくだ。すれ違うたびに手を振ってきたり声を掛けてたりと、まったく排他的なところがない。こんなに居心地がいい外国は初めてだ。心地よいのどかさを感じながら1時間走り、次の目的地へ到着した。

 グヌン・カウィには山の岩肌に彫られた、高さ7mの王家の陵墓がいくつもある。これらは、バリがヒンドゥー教に支配される以前のもので、11世紀頃の遺跡だという。
 この様式はインドのアジャンタやエローラの石窟に見られるもので、当時のインドの影響がインドネシアまで広がっていた事を示す貴重な遺跡でもあるらしい。

 タンパシリンからさらに30分ほど坂道を上がり、そこからライステラスが見れるテガラランへと下った。テガラランはバリでも有数の美しいライステラスが望める場所として有名、付近には民芸雑貨の店なども多かった。

 ちょうど通りかかった場所にビューポイントがあり、その眼下には見事なライステラスが広がっていた。観光客を乗せたバスもこのビューポイントに何台も訪れていた。クタからバイクで行ったダバナンで見れなかった棚田を、ようやくここで眺めることが出来た。
 山道を苦労して上がってきただけに、ウブドまでの帰り道はペダルをこぐ必要もなく、爽快なサイクリングを味わえた。




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